今月20日から22日にかけて、日経新聞「経済教室」に、
『長期化する原油安㊤㊥㊦』という論考が掲載されました。
3人の方が執筆されていて、それぞれ大変勉強になる内容でした。
以下に、その勉強になった箇所を抜き出して整理しておきたいと思います。
・原油価格を巡っては二つの謎があり、
その一つは、50%もの下落にかかわらず、景気刺激効果が生じなかったこと。
もう一つは、石油市場は国際政治情勢に極めて敏感で、
現在、中東は危機的状況にあるにもかかわらず、
こうした地政学的リスクが、原油価格の高騰につながらなかったこと。
つまり、今のところ原油は地政学的リスクを上回る供給過剰にある。
・二つの謎のうち、なぜ原油価格の下落が、
期待された刺激を世界経済にもたらさないか、という謎は解けていない。
原油価格の下落は、
米国のシェール革命による爆発的な供給増を反映したものだが、
同時に世界経済が一段と弱体化する可能性を示す
懸念すべきメッセージを発している。
・高値時代に築いた資産を取り崩してきた産油国にとって将来の見通しは厳しい。
原油価格が長期にわたり70ドル台後半に張り付いた場合には、
財政緊縮が必要になるし、地政学的にも重大な影響が出てくる。
例えば、ロシアは、石油収入の減少により軍事費が抑制され、
本来よりも地政学的に弱い立場に追い込まれる。
・無資源国日本は引き続き中東の石油に依存せざるを得ない。
少しでも依存度を引き下げるため、次世代燃料資源「メタンハイドレート」など
自国資源化が可能な資源の開発を進める必要がある。
また、関係国と連携してシーレーン(海上交通路)防衛を確保し、
特定のエネルギーや特定の国・地域に過度に依存することなく、
供給源の分散化を進めていくことが欠かせない。
ところで、今日の日経新聞には、
「北海道や東北など寒冷地で灯油商戦が5年ぶりの安値で始まった」
という記事がありました。
私の関心も、普段は専らこうした身近な記事に集まるのですが、
原油安の長期化が世界に大きな影響を与えることを知りました。
それにしても、今年の冬は、家計にとって「やさしく」、
寒がりの私にとっても「やさしい冬」になればいいな…と思っています。