しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

死中に活有り

一般的に「バブル経済」や「デフレ・ゼロ金利」には、

「ネガティブ」なイメージがあり、私もそのように理解していましたが、

日経新聞に連載中の

葛西敬之JR東海名誉会長「私の履歴書」を読んでいると、

どうやらそうでもない事実が、世の中にはあることが分かりました。

 

詳しい内容の記述は省略しますが、

JR東海にとって幸運だったのは、一つ目は、

バブル経済のブームでJR本州3社の業績が思いのほか好調に推移し、

誰もが10年以内には無理だと思っていた上場基準を

3社ともクリアする見通しとなったこと。

 

二つ目は、それまで上昇の一途だった

「JRセントラルタワーズ」の建築費がバブル崩壊で下落し、

2000年の全面開業までの6年間に金利が大幅に低下した結果、

事業費は3300億円の予定が2000億円で済み、

当初計画では、オフィス・百貨店・ホテルが単年度黒字となるのに

5~10年かかると想定されていたのに、すべて開業初年度から黒字となったこと。

 

三つ目は、1997年4月のリニア実験線運航開始から

2009年7月の実用技術完成までの間に、JR東海の財務状況は大幅に改善し、

1987年にわずか700億円だった年間可処分資金は今や5千億円にまで達し、

最大の経営リスクだった5兆5千億円の債務は2兆円まで縮減され、

それにゼロ金利政策の効果も加わって

支払利息は3500億円から700億円まで減少したこと。

 

葛西さんは、これらを「天佑(てんゆう)」とおっしゃっていましたが、

同時に、経営リスクを「捨て身の積極的経営」で克服したとも述べられていました。

まさに、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という故事ことわざの世界ですね。

 

安岡正篤先生のお言葉をお借りすれば、

六中観のうちの「死中、活有り」といったところでしょうか…。

 

私の履歴書」から、人生の教訓を御教示いただいている毎日です。