しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「絵」に関する思い出

日経新聞に連載中の洋画家・絹谷幸二さんの「私の履歴書」、

今日24日のタイトルは、

『子供への授業 反対の色をほんの少し~個性を育み調和する知恵』でした。

次のような、とても示唆に富むお話しが書かれていました。

 

・絵画は人間の根源的な表現だと思う。

 ところが「うまい絵」あるいは「正解」を描こうとするから挫折して、

 絵が嫌いになる。

 

・アート・アカデミーの私の授業では、

 絵の具はそのまま使ってはダメだよ、と子供に伝える。

 チューブから出したままの「赤」では、全員が同じ色になる。

 

・ヨーロッパに行くと、ネクタイでも車でもシックで落ちついた色彩に驚かされるが、

 それは補色に近い色をほんの少し、スパイスとして混ぜているから。

 反対の色や意見を取り入れながら個性をはぐくみ、調和を尊重する。

 それは人間の文明の力であり、知恵である。

 

絹谷さんのお話しによると、

料理の時に甘いお汁粉に塩、辛いカレーに蜂蜜といった「かくし味」を入れるように、

赤に緑やほかの色を少し混ぜると100人100色の「赤」ができる、

自分だけにしか作れない絵であることが重要、とのことでした。

 

「絵」で思い出しましたが、

私も子どもの頃には、絵を描くことが好きだったと記憶しています。

小学生の時は、絵の具を持って写生に行く、課外授業が楽しみでした。

母が作ってくれたお弁当持参で、なかば遠足のような気分でした。

 

そして、ごくまれに、自分の書いた絵が校内で入選すると、

母がとても喜んでくれたことを思い出します。(母は人を褒めるのが上手でした。)

 

その母が亡くなって、押入れの遺品を整理していたら、

私が子どもの頃に書いた絵を大切に保管していたのが見つかり、

その時は、「懐かしさ」というか、「いとおしさ」というか、「切なさ」というか、

なんとも言えない気持ちになりました。

 

一枚の絵にも、人それぞれの人生があります……。