今月19日の日経新聞「春秋」で、
『こころの処方箋』(新潮社)という本が、次のように紹介されていました。
『わかりやすい言葉で、人の心のあやを説き明かした。
著書に触れると、ぽんと膝を打つこと、たびたびである。
その一つ「こころの処方箋」(新潮社)には
格言風にまとめられたフレーズの数々が載る。』
続いてコラムでは、そのフレーズのいくつかとその解説が、
次のように書かれていました。
・「マジメも休み休み言え」
マジメな人の無反省が、鈍感や傲慢に通じがちなことを指摘する。
・「100点以外はダメなときがある」
人生のここぞという場に備え、準備や調整を怠るな、と述べる一方、
常に満点を目指すと、逆に疲れて不機嫌になってしまう、とも記す。
・「危機の際には生地が出てくる」
もって生まれた自分自身の基本的な心の傾向や欠点を知り、
それを変えようと努力してみたりすることで、
現実の危急時に適応力が高まると教えている。
・「権力を棄(す)てることによって内的権威が磨かれる」
人の実力や人格の完成度に従って醸される言動や空気が内的権威だろうか。
権力を使って権威を守ろうとしても、失墜するだけだ。
権威は誰からも奪われないが、権力はあっけなく奪われる、と説く。
コラムを読んで、久しぶりに本棚からその単行本を取りだし、
「目次」を確認してみると、コラムで紹介されていたフレーズ以外にも、
次のような、大変含蓄に富んだフレーズがありました。
・「日本人としての自覚が国際性を高める」
・「男女は協力し合えても理解することは難しい」
・「「耐える」だけが精神力ではない」
・「生まれ変わるためには死ななければならない」
・「強い者だけが感謝することができる」
・「「昔はよかった」とは進歩についてゆけぬ人の言葉である」
・「道草によってこそ「道」の味がわかる」
・「物が豊かになると子育てが難しくなる」
・「羨ましかったら何かやってみる」
・「心配も苦しみも楽しみのうち」
この本を最初に読んだ時の私は、おそらく今のように、
そのフレーズの「重み」に気づいていなかったと思います。
例えば、「生まれ変わるためには死ななければならない」は、
まるで「ジャン・クリストフ」(ロマン・ロラン)のセリフのようです。
私も歳を重ねて、少しは「大人」になったのかもしれません…。