しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

古代史から現代を読む

今月20日の日経新聞「日曜に考える」に、

ローマ在住で最新作『ギリシア人の物語1』の刊行に合わせて帰国した

作家の塩野七生さんに、インタビューした記事が掲載されていました。

 

世界が直面する問題への見方や政治リーダーの条件について、

塩野さんらしい次のような数多くの箴言がありましたので、

この日記に書き残しておこうと思います。

 

古代ギリシャ人の民主政について 

 結局、市民社会、市民階級がないところには民主政は成り立たない。

 そのことは現代でも立証されています。

 持てる力を可能な限り活用するために生まれたのがアテネの民主政であって、

 やはり中産階級が重要な役割を担ってきた。

 

・欧州以外の民主政について

 イスラム世界は中産階級をついに作れなかった。

 それが民主政が成り立たず、社会が安定しない原因でもある。

 イスラム世界は人々に高学歴を与えることはできた。 

 しかし今なお高学歴にふさわしい職場を作れていない。

 

・シリア情勢や難民問題について

 古代ローマ時代はどうしたかと言えば、難民は受け入れた。 

 ただし完全に自助努力を求めた。つまり「働け」と。  

 今のヨーロッパでは人権は尊重し、国民と同等の待遇を与えなければいけない。

 若い男たちが大勢収容されて何もしないと、周囲からだんだん敵視されていく。

 

・日本の安保関連法について

 日本も中小の国々のひとつだから同盟による安全保障は当たり前であって、

 ヨーロッパでは安倍晋三首相の安保法制は全然問題になっていない。

 

・政権3年の安倍首相の評価について

 安定はすごく大きい。人間はバカではありません。  

 安定、安全であれば適度に自分たちでやれる。

 しかし安全だけは統治者が実現しなければならない。

 

・安全保障について

 パクスを実現するには、やはり抑止力とか諸々の力が必要です。

 

・国を率いる条件について 

 政治のリーダーは美男である必要はない。でも明るい顔である必要はある。

 やっぱり辛気くさいのはダメです。安倍晋三という男は決して貧相ではない。 

 世の中、全部辛気くさい話ばかりなのに、

 リーダーまで辛気くさい顔をしていたらやる気が起きますか。

 

記事の解説によると、

古代ギリシャ史は、現代の国際安全保障理論の教科書とされているそうです。

記事に書かれた塩野さんの箴言に触れて、

今回刊行された最新作を是非読んでみたいと思いました。

 

そういえば、塩野さんの代表作『ローマ人の物語』は全15巻あるそうですが、

私は最初の数冊だけを読んだだけで、続きは未購読のままとなっています。

こちらもなんとか読破したいけれど、既読の内容はすっかり忘れているので、

また最初から読み返す必要がありそうです。(トホホ…)

長編作品は「強い意志」と「粘り強さ」が必要です……ね。