今月4日の日経新聞「経済教室」は、
片山善博・慶応大学教授の『地方創生策を問う㊤〜富の域外流出 防ぐ工夫を』でした。
論考で片山教授は、首都機能の移転をはじめ、
いろいろと地方創生策を示されていますが、
やはり私がもっとも共感したのが、地方への権限移譲に関する記述でした。
具体的には、北海道道州制特区を例に、次のように述べられています。
『北海道道州制特区もそうだ。北海道を道州制のモデルにする。
そのために政府が持つ権限を北海道に大胆に移譲する。
それによって産業政策を含め地域の実情に応じた自主的な地域づくりを可能にする。
まさしく北海道の地方創生の切り札になるはずだ。
では、これまで北海道にどんな権限が移譲されたか。
代表的なものとしては商工会議所の定款変更の認可権が
国から道知事に移譲されたくらいで、後は推して知るべしという状況である。
特区に指定して以来8年ほどたつというのに、この体たらくである。
国にはまったく取り組む姿勢が見られない。
自治体に対しては、やれ知恵を出せ、工夫せよというが、
国はいったい何をしているのか。まず隗(かい)より始めよ、霞が関。
自分も知恵を出し、工夫を心掛けるべきではないか。
自治体を急かしすぎる病弊も含めて、このたびの地方創生の成否を握るカギが
政府の改革にもあることを指摘しておきたい。』
片山教授ご指摘のとおり、
これまでも「地方再生」のために、国と地方は、
過疎対策、離島・半島振興など様々な対策を講じてきました。
ですから、今回の「地方創生」でやろうとしていることは、
決して目新しいことではありません。
そうしたなか、「未完」に終わっているのが地方分権改革……。
「隗より始めよ」という言葉には重い響きがあります。