しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

地方創生と誤った常識

今月5日の日経新聞「経済教室」は、
冨山和彦・経営共創基盤最高経営責任者
『地方創生策を問う㊥〜地域産業の「稼ぐ力」高めよ』でした。

冨山さんは最初にズバリと、「地方創生の基本課題は、
経済の衰退と人口減少の悪循環構造からの脱却にあるが、
その答えは、誤った「常識」を正すことでみえてくる。」と述べられています。
具体的には、次の三つです。

第一に、「地方経済は疲弊して仕事がなく、人手が余っている」という誤解。

次に、「中央の大企業の地方誘致が地方再生の切り札」
「地方再生の原動力は農林水産業と製造業」という思い込み。

そして第三に、「地方在住者は『田舎暮らし』をしている」というイメージ。

こうした「誤った常識」を踏まえて論考を読むと、
紙面に掲げられた次の3つの「ポイント」の理解が進みます。

 ・バラマキ政策では質高い仕事の創造困難
 ・ローカル産業の底上げには「賢い規制」も
 ・中核都市の活性化や集約へ努力の継続を

そして、やはり私がこの論考のなかで印象に残っているのが、
「トリグルダウン」と地方創生策の結論を述べた次の箇所です。

『円高是正と投資家の期待醸成に効果的な政策がそろうアベノミクス第一幕は、
 外需型産業や富裕層の多いGの世界に対して有効であり、
 実際、大きな成果を上げている。

 しかしGとLの間には垂直的な産業連関がないので、
 トリクルダウン(富のこぼれ落ち)は起きにくいのと同時に、
 Gの世界をたたいてもLの世界が潤うわけではない。

 結局、地方創生には、地域経済自身の「稼ぐ力」の向上、
 すなわち成長戦略に真正面から取り組むしかないのだ。
 GとLそれぞれの「稼ぐ力」が高まればシナジーも生まれてくる。』

冨山さんの主張する成長戦略は、
まず第一に「L型産業の労働生産性と賃金の向上」です。
相変わらず歯切れの良い論調に、反論する隙もありません……。