「新明解国語辞典」で調べると、
「粛々」は、「(緊張して)静かに行動する様子。」と書かれていました。
報道によると、菅官房長官に続き、安倍首相は今後、
この「粛々」という表現を使わないようにしたそうです。
これは、菅長官が沖縄県の翁長知事と今月5日に、
辺野古移設問題で会談した際に、
翁長知事が菅長官の「粛々と進める」という表現に対して
「上から目線だ」と不快感を示したことへの対応とのことでした。
どうやら、「粛々」には「雑音に耳を貸すことなく」という意味があり、
「沖縄の声は雑音になってしまう」との批判が一部にあったようです。
「政治的配慮の世界」は別として、
「粛々」が「上から目線」に結びつくことは、私は思いも寄りませんでした。
そして、今日9日の産経新聞「産経抄」には、
「粛々の正しい意味」というコラムが掲載されていましたが、
そこには次のようなことが書かれていました。
『頼山陽(らいさんよう)の
「鞭声粛々(べんせいしゅくしゅく)」からきている「粛々」もまた、
「誤用」がまかり通ってきた。
川中島の戦いで大軍が、夜陰にまぎれて静かに川を渡るさまを、
ただ鞭(むち)の音が聞こえるだけと、詠んだものだ。
司馬遼太郎さんによると、
この古風な言葉を復活させたのは、竹下登元首相だった。
批判を恐れずやるべき仕事を成し遂げていく、
という意味で、政治家が好んで使うようになって久しい。』
う〜ん、よく分からないけど、「粛々」に代わる適切な言葉ってあるのかな?
つくづく日本語の使い方は難しいと感じます。
ただ、特定の「言葉」の使い方を批判するだけでは、
肝心の議論が前を向いて進まなくなるのではないでしょうか…。
むしろ、こちらの方を私は心配します。