日本証券経済研究所のHPに掲載された
『中央銀行の役割と国債管理』という講演録が、大変勉強になりました。
私はこれまで、日銀が金融緩和を行っても
なぜ物価はなかなか上昇しないのか疑問に思っていましたが、
どうやら貨幣が流れる先には、異なった二つの市場があるようです。
講演録にはこの点に関し、次のような解説がありました。
いつものように、この日記をメモ代わりにして要点を残しておきます。
・その一つは生産物市場で、財・サービスの価格は需給によって決まる。
価格を決めるうえで最も重要な要素は生産費で、
生産費の中では賃金が最も大きなウエイトを占めるから、生産物価格は賃金を基本に決まる。
採算ラインより高い価格がつくと、供給者が増え供給量が増えるので、
生産物価格は低下する。(供給の弾力性が大きい。)
このように生産物市場では、
供給の弾力性の高い商品が売買されているので価格は安定的になる。
・もう一つは資産市場。
為替・株式、不動産などの価格は、期待と利子率が影響して決まる。
為替・株式、不動産は、いずれも供給の弾力性が非常に小さいため、
需要が増加すると、これらの価格はこれらを敏感に反映してはね上がる。
しかも、自己実現的に価格が決まるケースも考えられ、
資産市場では価格は不安定化しがちになる。
・流動性がいずれの市場に多く流れるかによって、異なった事態が生じる。
流動性が生産物市場に流れれば、
リフレ派の主張するようにインフレ目標が達成できる可能性が出てくる。
逆に、流動性が為替・株式、不動産などの資産市場に流れた場合には、
資産価格がはね上がり、生産物の価格である消費者物価指数は落ち着いたままとなる。
う〜ん、そういうものですか…。分かったような、分からないような…。
二つの貨幣の流れがあることは理解できましたが、
それならば、その流れる先を意図的に操作することはできないのでしょうか?
単純にそう思いますが、市場主義経済ではたぶん無理なのでしょうね…。
まだまだ私は、勉強不足のようです。