『天災から日本史を読みなおす〜先人に学ぶ防災』(磯田道史著:中公新書)を読了しました。
本の標題に書かれているように、天災時の「教訓」が盛りだくさんでした。
例えば、次のような…。
・津波から逃げる時、
率先避難者が大声で「津波がくるぞ。高台へ避難」と呼ばわると、
その声で周囲も我に返り逃げはじめる。
声を出して逃げることで、地域の生存率が高くなる。
津波から逃げる時は、勇気をふるって、声を出しながら逃げるようにしたいものである。
・老人・子どもは災害時の低体温症にとくに弱いこと。
年長者は責任ある行動をしなければならないこと。
疲労困憊時には弱気になり判断がにぶること。
我々はこれらを自覚して、老いも若きも、最後まで避難を投げないことが大切だ。
・事前に家族で地震時にどうするか話し合っているかで生死が分かれる。
一度逃げたら、忘れ物を取りに家に戻ってはならない。
・危機に直面した時、人間の直感は案外に正しい。
危機の時、何より正しい教科書は、マニュアルや想定より、目の前にある現実だ。
このほか、私がこの本で一番強く印象に残ったのは、
江戸時代に、父親が数え五歳の娘を波に投げ捨て、老母を助けにいったという話でした。
いくら「孝行」が重んじられても、
私にはこのような行為はできませんし、
現代社会では、まずあり得ない話だと思いました。
この話から導かれた教訓は、
『災害時には、平時の慣習や規則が、人命を損ないかねない場合がある。
現代人も心すべきだ。』
「すべての真の歴史は現代史である」
世界的に有名な歴史哲学者の言葉だそうですが、
歴史に謙虚に学ぶことの大切さを、改めて教えてくれる本だと思います。
天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 (中公新書)
- 作者: 磯田道史
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2014/11/21
- メディア: 新書
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