今日19日の全国新聞の一面コラムを読み比べてみて、
橋下市長の敗北宣言や引退表明に関し、コラムニストの方々が、
なにかしら割り切れない思いを抱いていることが、その文章からうかがい知れました。
・朝日新聞「天声人語」
橋下氏は自身をワンポイントリリーフの投手に見立てた。
だが、私たちの選ぶ為政者が常にワンポイントで終わる保証はない。
橋下流から学ぶべき教訓は、大阪の人々だけのものではない。
・日経新聞「春秋」
引退を即決した姿勢は潔い。戦ってきた経歴への誇りも保てよう。
ただ「政治は僕の人生からは終了」との笑顔での物言いは、
賛否を考え抜き投票した人たちに寄り添ってはいない。
・読売新聞「編集手帳」
チャップリンには、自身の最高傑作を問われて
「ネクスト・ワン」(次の作品だ)と答えたという出典不明の名言が伝わっている。
せっかく若い敗北でリアリズムを習得した橋下氏に、
政治家としてのネクスト・ワンはないらしい。
潔さを感じる前に、肩すかしをくらったような物足りなさも残る。
なお、産経新聞「産経抄」は、
これらのコラムとは、ちょっと趣向が異なっていました。
司馬遼太郎さんによると、大阪に地政学的価値を発見した
織田信長、平清盛、蓮如、豊臣秀吉、そして大久保利通など
日本史上における天才が、いずれも政治的には薄命に終わってしまったのは、
大阪が「政権を滅ぼす宿命の都」だったからだとのことで、
コラムではこれに続いて、「笑顔で政治家引退を宣言した橋下氏も、
そのジンクスから逃れられなかったのかもしれない。」と書かれていました。
う〜ん、大阪には歴史から見ると、「政権を滅ぼすジンクス」があったのですか…。(絶句)
ちなみに、「かんべえ」さんは、「溜池通信」の「不規則発言」で、
「人材を育てる場所だった大阪は、
いつしか人材を供給する場所になっていった。」と指摘されています。
地政学的価値がありながら、昨今、大阪の活力が低下している要因としては、
「ジンクス」というより、こちらの方がより説得力があるような気がします。