しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

経済成長の意義を学ぶ

今月22日の「経済教室」は、
「戦後70年日本の立ち位置は」の第3回目、
執筆者は吉川洋東京大学教授で、
タイトルは、『経済成長の意義 再確認を』でした。

吉川教授の一文一文が、とても示唆に富む内容でした。
そのなかから、私なりに大切だと思う箇所を抜き出しただけでも、
こんなにたくさんになりました。(要約版みたいになりました。)

 ・戦後70年と戦前70年の最も大きな違いは、
  戦後は戦前に比べて所得分配がはるかに平等になったことである。

 ・平均寿命は経済社会の「成績」を総括的に表現する指標である。
  寿命の推移は、戦前の日本社会が大きな問題を抱えていたこと、
  対照的に戦後70年は世界に誇るに足る成果を生んだことを明確に示す。

 ・現在われわれを取り巻くこの閉塞感はいったいどこから来るのか。
  さまざまな理由があろうが、経済の低迷が重要な一因であることは間違いない。

 ・経済低迷のしわ寄せは、所得水準の低い層ほど、
  また年齢的には若い世代ほど大きかった。
  少子化により若年世代の数が減少することに警鐘を鳴らす日本社会は、
  若い世代を大切にしてこなかった。

 ・閉塞感から抜け出すために必要なものは何か。
  第一は安定した経済成長である。
  経済成長というと、そもそも今の時代に成長は必要なのかという
  根源的な問いかけがなされる。

 ・ゼロ成長論は傾聴に値する。
  しかし、経済の停滞、低成長はいつの時代も「逆進的」であり、
  社会の閉塞を生み出す。健康な人にとっては、
  一点にとどまるよりも歩いているほうが快適であるのと同様に、
  成熟した経済にとってもプラスの成長が好ましい。

 ・人口減少はそれ自体大きな問題であるが、
  それと経済成長を直結して過度のペシミズム(悲観主義)に陥るべきではない。
  多くの困難を生み出す高齢化も、一方ではイノベーションの源泉なのである。

 ・経済成長ですべての問題を解決できるわけではない。
  超高齢社会の問題、格差の問題を解決するうえで最も
  重要な制度は社会保障制度にほかならない。
  社会保障制度は超高齢社会を乗り切るために必要な「防波堤」である。

 ・財政健全化をめぐる議論では常に景気との兼ね合いが問題になる。
  しかし本質的には、財政健全化は戦後70年を振り返り、
  将来の100年を見据えて考えるべき問題である。

経済成長の意義を学ぶことができました。
日本を代表するケインジアンの論考は、格調高いものがあります。