『永続敗戦論〜戦後日本の核心』(白井聡:太田出版)を読了しました。
「永続敗戦」とは聞き慣れない言葉ですが、著者によると、
『敗戦を否認しているがゆえに、際限のない対米従属を続けなければならず、
深い対米従属を続けている限り、敗戦を否認し続けることができる。』
このような状況を「永続敗戦」と定義し、
さらに、その概念が示す状況を、次のように説明されています。
『国内およびアジアに対しては敗戦を否認してみせることによって
自らの「信念」を満足させながら、
自分たちの勢力を容認し支えてくれる米国に対しては卑屈な臣従を続ける、
といういじましいマスターベーターと堕し、
かつそのような自らの姿に満足を覚えてきた。』
う〜ん、「実感としてはよく分からない」けれども、
私のような感覚の持ち主の存在こそが、
著者が三島由紀夫を引用しながら述べる、
『「平和と繁栄に酔い痴れる高度成長下の戦後日本社会の精神的退廃」の元凶』
と指摘されているような…、そんな気持ちになりました。
改めて、この本は、
著者自らが述べているように、
『対内的にも対外的にも戦争責任をきわめて不十分にしか問うていないという
戦後日本の問題を改めて指摘した』という意味で、
その思想や主義・主張に賛同するかどうかは別にして、かなり衝撃的な本だと思います。
なお、著者は、『大人の近現代史入門』という文藝春秋の雑誌で、
『対イスラム国』戦争が戦後を終わらせる』という論評を執筆されています。
こちらも一読する価値があると思います。

- 作者: 白井聡
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