しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

正と負の効果

「高齢化には経済成長に正と負の両面の効果」があることを、
昨日10日の日経新聞「経済教室」を読んで知ることになりました。

『潜在成長率は高められるか』シリーズの㊦、
論考の執筆者は二神孝一・大阪大学教授で、
タイトルは、『政府債務削減、長期で寄与』でしたが、
高齢化と経済成長に関しては、次のように書かれていました。

『高齢化は2つの相反する効果を経済成長に対して持っている。
 1つ目は高齢化の進行で
 現役の労働者数が減ると研究開発に投入される労働量も減少するので、
 技術進歩を停滞させる要因となる。
 また、年齢とともに新しいアイデアや革新的な生産方法を考え出すことが
 困難になる可能性があり、
 高齢化の進行で研究開発の成果が出にくくなることが予想される。
 すなわち、高齢化は技術進歩のスピードを鈍化させる効果を持つ。

 その半面、高齢化は経済成長を促進させる可能性も持っている。
 高齢化の進行で貯蓄をしない引退世代が増えるので、
 経済全体の貯蓄は減少するといわれる。
 一方で、寿命が延びて引退後の期間も長くなれば
 個人はそれに備えなければならないので、勤労世代の貯蓄は増加する。
 すなわち、老年世代の貯蓄の低下と勤労世代の貯蓄の増加の
 どちらが大きいかで、経済全体の貯蓄の変化が決まる。

 経済の持続的な成長を前提とすると、後者が上回ることになり、
 設備投資や研究開発投資を増加させて経済成長を促進する。
 こうした負の効果と正の効果の影響の大きい方が、経済成長への影響を決定する。』

う〜ん、前段部分はよく分かります。
しかし、後段部分の「経済の持続的な成長を前提とする」と
後者、すなわち勤労世代の貯蓄が老年世代の貯蓄を上回ることになって、
「設備投資や研究開発投資を増加させて経済成長を促進する」
というのは、私にはイマイチ理解できません。

なぜ、なぜ……?? どうして……??
むしろ、吉川洋・東大教授がおっしゃられていたように、
「先進国で経済成長を生み出すものは、人口ではなくイノベーション(技術革新)であり、
 多くの困難を生み出す高齢化も、一方ではイノベーションの源泉である。」
という説明の方がスッキリと頭に入ります。

「経済教室」のレベルが高いのか? それとも愛読者の私のレベルが低いのか?
「後段、お見込みのとおり」です……。