しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

教科書としての神話

NHKテレビテキストの『100分de名著〜オイディプス王』を読了しました。
テキストの著者は、作家の島田雅彦さんです。

テキストのなかで、特に印象に残っている島田さんの言葉に、
次のようなものがありました。
 
 ・高貴なるものが自ら命を絶つことは、最後まで名誉を守る唯一の手段。

 ・若い頃はあらゆる体験が新鮮。
  恋愛でも旅でも、喜怒哀楽の振幅が大きく、その印象は強烈。
  幼少期のほうが、時間の経過を遅く感じ、
  年をとるほどに加速度をつけるように感じるのは、この経験値の問題。

 ・すぐれた書物は読者の再読をうながすもの。

 ・人生は起伏の激しい起承転結だけでは説明しきれない。
  あらゆる悲劇を味わいつくしたあと、
  戦争で全てが破壊されて家族を失ってしまったとしても、
  さらにその先を生きのびていく強さを兼ね備えてもいる。

いやぁ〜、それにしても、二千四百年も前に、
このような完成された戯曲が存在していたとは驚きです。

ソポクレスの「オイディプス王」は、
運命にあらがい、運命によって破滅していく一人の人間を描いた、
比類なき傑作といわれているそうですが、
テキストの最後に、島田さんは、
その物語の元型としての神話について、次のように述べられています。

『神話は、何もないところから生まれたわけではありません。
 戦争や災害や自然の脅威にさらされた、人間の経験に基づいています。
 神話は、災厄の結果生まれている。
 そこから得た教訓とは、危機管理のノウハウのストックであり…(略)』

私は、ギリシャ神話の解説本を数冊所有していますが、
どの本もつまみ食い程度に読んだだけで、
最後まで読みとおすことができませんでした。

このテキストを読んだことを契機に、
もう一度、これらの本を読み直したいと思います。