NHKテレビテキストの『100分de名著〜オイディプス王』を読了しました。
テキストの著者は、作家の島田雅彦さんです。
テキストのなかで、特に印象に残っている島田さんの言葉に、
次のようなものがありました。
・高貴なるものが自ら命を絶つことは、最後まで名誉を守る唯一の手段。
・若い頃はあらゆる体験が新鮮。
恋愛でも旅でも、喜怒哀楽の振幅が大きく、その印象は強烈。
幼少期のほうが、時間の経過を遅く感じ、
年をとるほどに加速度をつけるように感じるのは、この経験値の問題。
・すぐれた書物は読者の再読をうながすもの。
・人生は起伏の激しい起承転結だけでは説明しきれない。
あらゆる悲劇を味わいつくしたあと、
戦争で全てが破壊されて家族を失ってしまったとしても、
さらにその先を生きのびていく強さを兼ね備えてもいる。
いやぁ〜、それにしても、二千四百年も前に、
このような完成された戯曲が存在していたとは驚きです。
ソポクレスの「オイディプス王」は、
運命にあらがい、運命によって破滅していく一人の人間を描いた、
比類なき傑作といわれているそうですが、
テキストの最後に、島田さんは、
その物語の元型としての神話について、次のように述べられています。
『神話は、何もないところから生まれたわけではありません。
戦争や災害や自然の脅威にさらされた、人間の経験に基づいています。
神話は、災厄の結果生まれている。
そこから得た教訓とは、危機管理のノウハウのストックであり…(略)』
私は、ギリシャ神話の解説本を数冊所有していますが、
どの本もつまみ食い程度に読んだだけで、
最後まで読みとおすことができませんでした。
このテキストを読んだことを契機に、
もう一度、これらの本を読み直したいと思います。
ソポクレス『オイディプス王』 2015年6月 (100分 de 名著)
- 作者: 島田雅彦
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2015/05/25
- メディア: ムック
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