『国際秩序〜18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ』
(細谷雄一著:中公新書)を読了しました。
「均衡の体系」、「協調の体系」、「共同体の体系」という
国際秩序の三つの原理について、
丁寧に分かりやすく解説されていて、大変勉強になりました。
ご案内のとおり、著者は、
集団的自衛権の問題を含めた、憲法との関係の整理につき研究を行うため、
官邸に設置された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の有識者のお一人です。
著者の国際秩序に係る考え方は、
本書の最後に書かれた、次の文章に表れていると思います。
『重要なのは、日本が十分な国力を備えて、日米同盟を安定的に強化して、
アメリカが東アジアへの関与を継続できる環境を整えて、
その上でこの地域において価値や利益を共有することである。
価値を共有することで安定的な「均衡の体系」を構築し、
その基礎の上に日中での協力関係を発展させ、
この地域の平和を確立することが必要となる。
われわれは自国の利益や、この地域の平和を考える時に、
あくまでも国際秩序全体を視野に入れる必要がある。
それを可能とするためには、しっかりとした歴史観を持ち、
そして長期的な視野を持つことが必要だ。
平和を願い、友好関係を期待するだけでは、
われわれはそれを得ることができない。
それを実現するための強靭な論理を持たなければならない。
国際秩序とは何かを理解すること。
それが、そのための第一歩なのかもしれない。』
なお、21世紀にはいって、
国際政治の中心が大西洋から太平洋へとシフトしつつあるという本書での記述は、
雪斎先生の『日本はアジアではなく太平洋だ』というお考えに近いのではないか、
と思いました。
いずれにしても、一読する価値のある本だと思います。
国際秩序 - 18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ (中公新書)
- 作者: 細谷雄一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 新書
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