しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

進化と人間の本性

NHKテレビテキストの
『100分de名著〜種の起源ダーウィン』を読了しました。
テキストの著者は、
進化生物学者・総合研究大学院教授の長谷川眞理子さんです。

本文のなかで、特に印象に残った記述が、次とおり二箇所ありました。

『「種の起源」は、
 そうした人間の驕り(人間は自然界の頂点に君臨しているという驕り)に
 警鐘を鳴らしているとも言えます。

 すべての生物はもともとはひとつで、上下関係は存在しないと考えると、
 その先には新しい世界が見えてきます。

 生き物の間には無駄なものなどひとつもなく、
 この世界は多様な生物が互いに関係し合いながら保たれている
 〜という世界観です。』

『たとえば昨今、地域コミュニティや家族の崩壊などが問題になっています。
 社会学者であれば、その現象に注目して
 「相互扶助というものを念頭に置いた、
 新たな社会システムをゼロからつくり直す必要がある」と考えるでしょう。

 しかし、進化の仕組みを知っていると、
 それとは違った考え方ができるようになるのです。

 人類進化史から見れば、「人間」とは、
 「基本的には雑食で、適度の運動と娯楽を必要とし、
 共同作業によって生計をたてて、公平・平等をよしとし、
 好奇心が強く、他者と密接なコミュニケーションをとり、
 共同で子育てをする社会的な生き物である」。

 これが進化の過程のなかで人間が獲得した本性であり、
 これらの要素がすべて満たされていれば、人間は幸せを感じられる
 〜というのです。

 つまり、現象だけに注目するのではなく、
 現代社会のいったい何が人間の本性を阻害しているのかを考えることが
 大切ではないでしょうか。』

「進化の考え方」が、医学や社会学、心理学、哲学など
さまざまな学問領域と結びつく可能性があることを知ることができました。

でも、何万年、何十万年後に、
進化の過程で人間の本性が変化することはあり得るのでしょうか?
そしてその時には、幸せの形も変わっているのでしょうか?

「本性」だけは永遠に不変のような気がします。