今日は成人の日です。毎年、この日の朝刊を開けるのを楽しみにしています。
どうしてかというと、サントリーウイスキーの広告に、
伊集院静さんの、味わい深いエッセイが掲載されているからです。
今年のタイトルは「一人で歩きなさい」。
このエッセイで「ぐっと」きたのは、次のような記述でした。
『淋しいだろうが、一人で歩きなさい。孤独を学びなさい。
孤独を知ることは、他人を知ることだ。
苦しいだろうが、道を選ぶ時、ラクな道を選ぶな。
苦しい時間こそが人を成長させる。
辛いだろうが、自分だけのために生きるな。
そうすれば“品格のある生き方”とは何なのかがわかる。
人生は自分だけが出世、贅沢をするのが目的ではない。
金で手に入るものなどタカが知れている。』
う~む、いつもと変わらず、伊集院さんの言葉には「力」があります。
でも、どうして還暦も過ぎたのに、このような言葉に感動するのでしょう…?
確かにそのとおりなのに、そのとおりに人生に対峙してこなかった
自分がいるからだと思います……。
こんなことを考えていると、
今日の朝日新聞「折々のことば」に、フランスの作家で哲学者、ポール・ニザンの
『ぼくは二十歳だった。それがひとの一生で
いちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい。』という言葉と、
鷲田清一さんの次のような解説がありました。
『魂の内臓から噴き上げる激しい渇望。膨らむ憧れとひどい幻滅。
社会の中で方位を定められずにいる漂流感。
いったい何をやっているのかといった無力感。
青春時代にひとはあがきと焦りに溺れそうになる。』
「あがき」と「焦り」に溺れそうになるなかで、
一人で歩いていくのは容易ではありませんが、
それでも何とか人が生きていけるのは、伊集院さんの言葉をお借りすると、
『さまざまな人の生き方に教えられ、学ぶ』からかもしれません。
新成人の皆さんのこれからの人生が、幸多いことをお祈りします。