先日のこの日記で、「安倍一強体制」についての所感を書きましたが、
今日19日の日経新聞電子版に掲載された「政治アカデメイア」は、
「安倍一強体制」に至る諸改革の流れを理解するうえで大変勉強になりました。
自民党長期単独政権の崩壊後、衆議院の小選挙区制導入による政治改革を先頭に、
首相主導の政策決定を加速する橋本行革や、裁判員裁判を含む司法制度改革といった
統治機構の大掛かりな改革が相次ぎましたが、
これら一連の統治機構改革がもたらしたものを、
「平成デモクラシー」と唱えられたそうです。
各党から1選挙区で1人しか立候補できなくなりますが、
そうなると、公認権と税金を原資とする政党助成金の配分権を握る
党首・執行部に権力が集中していく、
つまりは、「首相のリーダーシップの確立と責任の明確化」
につながっていくことになります。
そして、憲法学者で京大教授の曽我部真裕さんは、
集団的自衛権の限定容認などの安全保障法制の成立も
「安倍政権の独裁的な体質によるもの」と単純化すべきでなく、
むしろ一連の統治構造改革がもたらした
首相主導体制のなせる技だと分析されているとのことでした。
う~む、なるほど…。「安倍一強体制」を評価するためには、
これまでの諸改革の流れを理解する必要があるのですね。
一方で曽我部さんは、先ほどの「平成デモクラシー」が
「いびつな形になっている」と警鐘も鳴らされているとのことでした。
具体的には、政権交代が定着せず、官僚機構や業界団体と現与党の距離が近いこと、
最高裁の違憲立法審査権が十分に機能していないことを指摘されているほか、
首相主導体制への国会やメディアによる統制、
国会前デモが映す「代表制の危機」への政党の対応、
衆参ねじれの克服など「政治改革2.0」への取り組みを訴えられているようです。
国際金融市場が象徴するように、
グローバル化は意思決定のスピードアップも要求した。』
清水編集委員は、衆議院の小選挙区制導入という政治改革の背景を
このように述べられていました。
「負担の分配」をトップダウンで迫ることや
意思決定のスピードアップが要求されることは、
当時も今現在も変わりはなく、地方自治体においても同様です。
さらに、このところの国内外の複雑な情勢を見ていると、
まだまだこの国の諸改革には、終わりがないように思われます。
さて、明日水曜日は職場の新年会です。
酔っ払うと何を書くか分からないので、この日記もお休みにします。