NHKテレビテキストの100分de名著
『代表的日本人~内村鑑三』を読了しました。
ゲスト講師は、批評家の若松英輔さんでした。
「代表的日本人」が取り上げているのは、
西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の五人の生涯ですが、
若松さんの解説によると、
じつは、この本の本当の主役は5人の人間ではなく、
彼らを超えたものの存在、それを内村は「天」と書いているとのことでした。
『人は、「天」に導かれるとき、どのように人生を切り拓き、
苦悩や試練と向き合うことができるのか。
また、そこで他者と時代と、どのように関係を作り上げてゆくことができるのかが、
この本には活き活きと語られている』と述べられています。
う~む、そうだったのか……。
私は以前、「代表的日本人」を読んだことがありますが、
このように深く掘り下げて読んだ記憶はなく、
「歴史上には偉大な人物がいたのだなぁ~」という程度の感想でした。
ですから、この本はもう一度読み直してみることにします。
そして、今回、テキストと同時にテレビを視聴して理解したのは、
「代表的日本人」に込められたもう一つのテーマは、
内村の有名な講演録「後世への最大遺物」と通じあっており、
一緒に読み解いていくとその本質がわかっていくという、
若松さんの次のような解説です。
『内村にとって生きるとは、自己実現の道程というよりも
「後世」に生まれる未知の他者が歩く道を準備することだった。
逆に私たちは、何を受け継ごうかと考えて世界を見るとき、
はじめて自身に準備されている「遺物」の豊かさに気づくことができる。』
「日本人として生まれてよかった」、あるいは、
「こんな自分でも後世に何か遺せるのではないか」。
こんな気持ちにさせられるNHKテキストでした。
もちろん、テキストだけでなく、テレビでの若松さんの解説も素晴らしかったです。
内村鑑三『代表的日本人』 2016年1月 (100分 de 名著)
- 作者: 若松英輔
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2015/12/25
- メディア: ムック
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