軽減税率導入の賛否について、
最近の日経新聞の紙面では、専門家の方がいろいろな意見を述べられています。
そのポイントを、以下のように整理してみました。
まずは、賛成の立場です。
郭洋春・立教大学教授
→制度の本来の趣旨が理解されていない。
欧州では経済・社会のあるべき姿を提示するために導入している。
多くの欧州の国が雑誌や書籍に軽減税率を適用するのは文化の保護のためだ。
低所得者対策だけでなく公共の利益の観点がある。
→額で評価すると軽減税率は
逆進性対策として機能していないようにみえるかもしれないが、
率で評価すると確実に逆進性の緩和に貢献している。
欧州連合(EU)加盟28カ国のうち、ほとんどの国が軽減税率を導入している。
食料品をはじめ生活必需品への軽減税率は至極当然と受け止められている。
次に、否定的な立場です。
河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト
→良いことはひとつもない。
富裕層のほうが食費は多いため、恩恵は富裕層ほど大きい。
低所得者対策として不適切だ。
欧州などの多くの国が導入しているが、制度の問題点が明らかになっている。
日本は海外の失敗に学ぶべきだった。
現金給付と税額控除を組み合わせた給付付き税額控除なら低所得者を支えられ、
財政への負担も小さい。
→世論が支持する軽減税率の導入を政権が決定するのは当然のように思われる。
しかし国際社会では、軽減税率は消費行動をゆがめ、
金持ちを優遇すると知られてから30年以上たつ。
軽減税率は再分配とは逆に貧者から富裕者への配分を引き起こす。
給付なら、高所得層から税収を得て、それを所得の平等化に使える。
う~む、どちらが正しいのか、私にはよく分からなくなりました。
ただ、どちらの立場も、所得税を払えない低所得者に現金を給付する
「給付付き税額控除」は否定していないように思えました。
この「給付付き税額控除」は、個人ベースの所得を正確に把握する必要があります。
だったら、マイナンバー制度を、
所得の把握に有効に使ったらいいと思うのだけれど、できないんでしょうか…?
私の素朴な疑問です。