『代議制民主主義~「民意」と「政治家」を問い直す』(待鳥聡史著:中公文庫)を
読了しました。
とても大事なことが書かれているのに、
なんとなくダラダラと読み終えてしまいました。(反省)
私見ですがこの本は、次の4つの記述がポイントだと思います。
・代議制民主主義における政治家には議員だけでなく、大統領も含まれる。
だからこそ、本書では「議会制民主主義」ではなく
「代議制民主主義」という語を用いる。
・代議制民主主義は、自由主義的要素と民主主義的要素の組み合わせにより
成り立っている。
自由主義的要素は、政治に関与しようとするエリート間の競争や相互抑制により、
人々の自由を最大限保つことを目的とする。
その起源は、かつて貴族や財産所有者からなる議会が
国王権力に制限を加えていったことにあり、
制度的にはマディソンが中心となりアメリカ合衆国憲法において構想した
権力分立によって確保される。
これに対して民主主義的要素とは、社会を構成する有権者の意思が
政策決定に反映されることを重要視する。
主要な実現の手段は選挙だが、デモなどそれ以外の方法での政治参加を
追求しようとする場合もある。
・さまざまな課題を抱えつつも、世界の代議制民主主義には
一つの共通した構造が存在する。
有権者から政治家を経て官僚に至る委任の流れと、
官僚から政治家を経て有権者に至る説明責任の流れという、
二つの流れから必ず成り立っていることである。
これら二つの流れを総称して、
代議制民主主義における「委任と責任の連鎖」と呼ぶ。
言い換えるならば、代議制民主主義とは、
委任と責任の連鎖が確保されている政策決定の仕組みを指す。
そして、委任と責任の連鎖関係を適切に構築できるかどうかが、
代議制民主主義を安定的に機能させる鍵となる。
・人類の巨大知的プロジェクトである代議制民主主義が持つ
しなやかさしたたかさを知った上で、それを使いこなせることこそが、
現代を生きる私たちに不可欠な政治リテラシーなのである。
いまの政治と民主主義に限界(?)を感じている方には、必読の本だと思います。

代議制民主主義 - 「民意」と「政治家」を問い直す (中公新書)
- 作者: 待鳥聡史
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2015/11/21
- メディア: 新書
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