『桶川ストーカー殺人事件~遺言』(清水潔著:新潮文庫)を読了しました。
最初から最後まで、やりきれない思いで読みました。
著者が執念の取材を続けなければ、この事件は迷宮入りしたかもしれないし、
警察の驚くような不祥事も発覚しなかったのではないかと思うと、
心底、背筋が寒くなりました。
また、この本を読むと、
「マスコミが社会で果たす役割とは何か」について考えさせられます。
具体的には、被害者の娘さんのお父さんが、
「文庫化に寄せて」において次のように述べられいて、
とても重みのある言葉だと感じ入った次第です。
『マスコミは、しっかりと、正確に、世に真実を報道していく事ができるのか。
細部に至るまで詳しく伝える責任とはどういうものなのか。
限られた紙面、制約のある時間のなかで、
どんなメディアであれ限界があることはわかっているつもりだが、
それぞれのメディアの特徴を生かすことで、
それぞれの役割を十分に果たして欲しい、というのが私の切なる望みでもある。』
この本は、「事件ノンフィクション」であると同時に、
無念の死を遂げた一人の女子大生への「鎮魂の物語」でもあると思います。