「管理職の担い手が会社からいなくなる。」
今日12日から日経新聞社会面で連載が始まった
「解を探しに~引き算の世界」という記事にあった文章です。
記事によると、産業能率大の調査では、
男性新入社員が目標とする地位は、バブル期の1990年度は
「社長」が46.7%だったのに、2015年度は14.2%しかなく、
「地位には関心がない」は、逆に20.0%から30.8%に増加したとのことでした。
また、関西の小売業の人事部長が、
給料は上がるけれども転勤を伴う店長昇格を社員に打診したところ、
「未知の土地に移り住み、部下を抱えて働きたくはない」という理由で、
立て続けに拒否されたという事例も紹介されていました。
こうした現象について、某大学の先生が次のようにコメントされています。
『上司にゴマをすり、出世競争に勝ち抜けば明るい未来が待っている、
という時代はバブル崩壊とともに終わった。
社会的地位の向上や昇給、裁量の拡大といった昇進の魅力が薄れ、
負のイメージが目立つようになった。』
う~む……、確かにバブル崩壊以降、
日本企業の現場における「ブラック企業」や「名ばかり管理職」といった
負のイメージが、いつの間にか若者に浸透していった側面があって、
苦労だけが想定される管理職への昇進が敬遠されているのかもしれません。
記事では、経済や社会が成熟した結果、
「出世にこだわらない。極力物を持たない。人間関係は面倒くさいだけ」といった、
これまでの成長・拡大志向とは違う価値観が広がってきた社会を、
「引き算」に向かう社会と位置づけているようです。
このような価値観を持つ若者を、私は否定はしませんが、
冒頭の「管理職の担い手」、すなわち「リーダー」不在の会社や社会というのは、
「ちょっとどうかな?」と心配になります。
おそらく、これからの連載で、
「引き算の世界」を前提とした「解」が提示されていくのでしょうが、
素朴な疑問として、日本社会では「足し算の世界」は、バブル崩壊とともに
本当に失われてしまったのでしょうか……?
同じく日経新聞電子版では、柳井正・ファーストリテイリング会長が、
現代の若者に、「まずエベレストではなく丘に上がれ」と言われていました。
明日からの連載記事が、できるだけ「明るく前向き」になることを期待したいです。