しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

人間の偉大さについて

チェ・ゲバラ伝増補版』(三好徹著:文春文庫)を読了しました。

読了するのに少し時間がかかった本でした。

いつものように印象に残った記述を書き残しておきます。

 

・男はひとりの女に出会うことによって、

 その生涯を大きく変えられてしまうものらしい。

 人はそれを、運命の出逢いというのだ。

・なにか事をなすにたっては、他人の押しつけによらず

 あくまでも自分自身の意思によって行われるべきだというのが、

 終始一貫してかれの生涯を支配している主題であった。

・内容よりも形式を重んずるようになっては、革命はもはや革命たりえない。

・チェにとって、革命は童話でもおとぎ咄でもなかった。

 それはまさしく勝利か死かの戦いでもあったのだ。

・激情的なカストロとは対照的に、チェは冷静でうちに熱情を秘めた男だった。

 そしてカストロは革命のリアリストであり、チェは革命のロマンチストであった。

・かれは医師からゲリラ戦士になり、ゲリラ戦士から革命家へと昇華して行ったが、

 いついかなる時でも、読書だけは怠らなかった。

 日記をつけることと本を読むこととは、かれの終始一貫した習慣であった。

・男がほかの女に心を移したとき、女にとってできることは男と別れることだけだ。

・チェにとっての社会主義とは、これの言葉をそのまま使えば、

 「人間による人間の収奪の根絶」であった。

・歴史は多くの革命かをもったが、いったん権力を手にした革命家が

 自らその地位を放棄して、困苦にみちた新たな戦列に加わったとい例はかつてない。

 チェがそれをなした史上最初の革命家であった。

 

チェ・ゲバラという人物が歴史上存在していたことは知っていましたが、

この本を読んでその人となりを理解することができました。

何が彼の魅力なのか、彼の何に惹かれるのかといえば、

著者が指摘しているように、その「生き方の純粋さ」と「革命のロマンティシズム」

だと思いました。

「意志の力、英雄的な精神、そして人間の偉大さが何をなしうるかの崇高な証」

というカストロの言葉が、読む人の心を打ちます。

 

チェ・ゲバラ伝 増補版 (文春文庫)

チェ・ゲバラ伝 増補版 (文春文庫)