若桑みどりさんの歴史ノンフィクション
『クワトロ・ラガッツィ㊤㊦』(集英社文庫)は、
16世紀に日本に来たヨーロッパのキリスト教宣教師と、
日本からヨーロッパに向けて旅立った4人の少年遣欧使節のお話しで、
戦国時代の日本から長い歳月をかけてようやくヨーロッパにたどり着き、
最後はローマ教皇にまで謁見したという歴史的快挙に、
私は感心しながら読んだ記憶があります。
日経新聞電子版「経営書を読む」で、次のように述べられていました。
『本書が描いている16世紀の日本に来たカトリック宣教師たちの経験は、
グローバル化への挑戦の究極の事例といえます。
この事例研究から今日の日本企業のグローバル化とその経営について、
彼らの成功と失敗の体験から驚くほど多くの示唆が引き出せるのです。』
う~む、なるほど……。
「日本に来た宣教師たちが少年遣欧使節というプランを
企画し実行した経緯を彼らの視点で見ると、
グローバル化とそのマネジメントの本質が見えてくる。」というご指摘は、
まさに「目から鱗」でした。
具体的には、次のようなことが書かれていました。
・日本に乗り込んできたイエズス会が、まずとった布教戦略は、
宣教師が町へ赴き大衆に辻説法をして
ボトムアップで信者を増やしていくという「水平型伝道」ではなく、
社会の上層部に働きかけ、指導者層を説得して改宗させたのちに、
彼らの影響力をテコにして庶民へと信者を増やしていくという
「垂直型伝道」戦略だったが、
この戦略は、群雄割拠の戦国時代の日本では
誰が最高権力者なのか判然とせず、失敗に終わったこと。
・この限界を打破したのが、イエズス会の東インド管区巡察師、
アレッサンドロ・ヴァリニャーノで、1579年に日本に来た彼は、
すぐに「日本文化と西洋文化の非常な違い」を悟り、
異なる文化を融合していくには
「われわれの方があらゆる点で彼らに順応しなければならない」と考え、
従来の戦略を水平型へと大きく転換する決断を行ったこと。
まだ、連載の二回目なのに、
日本企業のグローバル化戦略の「手引き」として、
この本を読むことができることを知りました。
今日はこれくらいにして、続きの連載の感想をこの日記に書くことにします。
クアトロ・ラガッツィ (上) 天正少年使節と世界帝国 (集英社文庫)
- 作者: 若桑みどり
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/03/19
- メディア: 文庫
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