日経新聞電子版「リーダーのマネジメント論」に、
岡藤正広・伊藤忠商事社長へのインタービュー記事が掲載されていました。
岡藤社長を「商社の変革者」とか「異能の経営者」と呼ぶ人もいるそうなのですが、
ご本人は、「あんまり変わったことをやるのは好きじゃない」と述べられています。
働き方の改革も次々と実施されたようで、その改革事例がたいへん勉強になりました。
以下は、伊藤忠商事の改革前の実態と、改革後の岡藤社長のコメントです。
・会議が多い。毎週月曜日に朝9時から正午までの情報連絡会議。資料も分厚い。
⇒ 僕自身、会議と資料が本当に嫌い。
それで社長になった後、会議と資料をかなり減らした。
今、情報連絡会は1カ月に1回。それで空いた時間を使って外を回る。
無駄な会議をするより、関係会社やお客さんを回った方がよっぽどいい。
・社員の出社は午前10時ごろ。それで夜遅くまで残業したり、飲み会をしたり。
⇒ 僕自身の経験からすると、残業する人間で仕事のできる人間は少ない。
2次会、3次会まで飲み会をしても建設的な話はほとんどない。
体力を消耗するし、家庭もうまくいかなくなる。
お客さんから午前9時ごろに電話がかかってきても、
まだ出社していないので対応が遅れる。それではあかんと。
・フレックス制度をやめようとしたら、人事部から「十数年間やっている制度。
社員の既得権なので、労使関係の悪化につながる」と言われた。
そこで、課長以上を午前9時までに来させる試行を半年間したうえで、
午前8時前に始業する社員にはインセンティブとして軽食と割増賃金を出し、
本格的な朝型勤務を導入した。
⇒ 僕も午前7時すぎには会社に来る。
朝9時までにやらないとあかんと思うと、ものすごく仕事の効率が上がる。
午前9時までに打ち合わせを何回も終えて、資料も全部そろえる。
気持ちがすっきりするわな。
来客者と面会する前に、新聞を読んだり、株式相場をみたりする時間もできる。
毎日、午後5時半か午後6時には会食に出かけるため会社を出ている。
う~む、なるほど……。
このような「働き方改革」はとても大事なことだと思います。
そして、岡藤社長の次のような謙虚な言葉も印象に残りました。
『過去の先輩や先人たちの苦労や失敗を知って、その分析が大事や。
そして過去の反省の上に立って違うやり方でやらないと、
同じ失敗の繰り返しになる。
営業マンは担当が変わると、前の担当者と同じ失敗を繰り返しがち。社長も一緒や。
「今までの社長より自分の方が優れているから、同じことをやっても成功するかも」
と思いがち。だから人の話をよう聞いて、
自分も同じ間違いを犯すかも知れないことを、意識せんとあかん。』
「現在の伊藤忠商事にとって一番のリスクは役員や社員の慢心」
という岡藤社長の問題意識がある限り、
伊藤忠商事の総合商社首位(純利益)が続きそうな気がします。
(それにしても、岡藤社長の関西弁には迫力がありますね……)