しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

等身大の姿が見えない

今月16日の朝日新聞デジタル版「社説余滴」に掲載された

国際社説担当の箱田哲也さんの『北朝鮮崩壊論と崩壊期待論』という記事が

大変勉強になりました。

 

北朝鮮高官の粛清情報やエリート層の脱北を背景に、

またぞろ韓国発の「北朝鮮崩壊論」が頭をもたげているそうですが、

次の二つの記述を読んで、今までの北朝鮮に対する認識を改めた次第です。

 

『要人の脱北は初めてではないし、

 厳しい制裁が国連安保理で採択されて半年たっても

 北朝鮮の物価や主要貿易に変動は見られないという。 

 自由が制限され、常に食糧や電力の不足にあえぐ社会は、私たちには絶望的に映る。

 それでも体制は存続してきた。自分たちと同じ価値観で考えると見誤る。』

 

北朝鮮政策を考える時、民主主義国家には共通の悩みがある。

 政権を奪い合う選挙があることだ。

 最高指導者の死まで政権が続く北朝鮮は、

 日米韓のそんな足元を見て硬軟織り交ぜた出方をしてきた。 

 だからこそ感情に任せるのではなく、

 等身大の北朝鮮を見極める努力が欠かせない。』

 

う~む、まいりました…。

厳しい制裁が国連安保理で採択されても

北朝鮮の物価や主要貿易に変動がないとしたら、

どんな制裁を科せば効果があるのでしょう?

箱田さんは「自分たちと同じ価値観で考えると見誤る」と言われていますが、

では一体、北朝鮮はどんな価値観を持っているのでしょう?

「物質」ではなく「精神」を尊重する価値観があるというのでしょうか?

それは、先の大戦の敗戦まで日本人が持っていたような価値観なのでしょうか?

そして、最高指導者の死まで政権交代がないということは、

逆説的に言えば、ぶれずに政策の遂行ができるということで、

かえって民意は安定するのでしょうか?

 

私のこれまでの認識としては、独裁国家はいずれは崩壊するというのが、

人類の長い歴史から学んだ教訓というものでした。

だとしたら、北朝鮮は歴史を塗り替えることができる国家なのでしょうか?

箱田さんは「等身大の北朝鮮を見極める努力が欠かせない」と言われますが、

私には「等身大の北朝鮮」の姿がさっぱり見えません…。