しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

石の上にも三年

日経新聞電子版からのリンクから、たまたまですが、

経済評論家・山﨑元さんの『転職原論』というコラムにたどり着きました。

 

コラムは、20・30代のビジネスパーソン向けに書かれたものでしたが、

定年退職後に再就職している私にとっても十分に参考になりました。

参考になったというのは、次の2箇所の記述でした。

 

『会社というものは、つくづく入ってみなければ分からないものだ。

 その原因は、主に、 

 (A)個々の仕事というものの実感が働いてみないと分からないこと、

 (B)個々の会社・職場の人間との相性があること、

 (C)自分自身に変化があること、の三点だ。

 仮に、読者が、現在お勤めの会社を辞めたいと思っておられるとしても、

 それは、珍しいことでも、おかしいことでもない。

 就職や転職に関して「見込み違い」は、

 三回に一回程度は(たぶん)起こる普通のことだし、

 現在の勤務先を辞めたいと思うのは自分が成長したからかも知れない。』

 

『仕事の「やり甲斐」というものが何なのかはなかなか説明しにくいが、

 (A)自分の仕事が誰かのためになっていることが実感できるか、または、

 (B)自分の仕事が以前よりも成長していることが実感できるか、

 の二つの要素に分解できる。

 もちろん(A)と(B)の両方があるにこしたことはない。

 経験的にいって、ある職場にいて、(A)か(B)かどちらかがあれば、

 その状況は我慢が利く。

 しかし、(A)も(B)もないという状況では、

 その仕事に対して精神的な張りを保つのが難しい。

 生活のための条件や、キャリアプラン全体を考えなければならないが、

 転職を考える大きなきっかけだと思う。』

 

う~む、なるほど……。とても説得力のあるお話しだと思います。

私が就職をして初めて社会人になった頃は、

上司や先輩の方から、「三年は我慢するように」と言われてきました。

そして、私もある程度の年齢に達してからは、

そのように思って若い方に接してきました。

ところが、こうした考え方に対して、山﨑さんは次のように反論されていました。

 

『辛抱が大事な場合もあるし、短期間在職での

 (特に筆者のような何度にもわたる)転職が人材の評価を下げる場合もある。

 しかし、必ずしも長くない人生にあって、我慢を見せることを目的として、

 たとえば三年も時間を費やすとすると、

 それは、あまりにも大きな時間の無駄だと筆者は思う。』

 

はぃ、そうですね。このような考え方も最近は理解できるようになりました。

たまたまたどり着いたコラムですが、読めてよかったです。

ちなみに、最初の就職について、

高名な経営コンサルタント故P・F・ドラッカー氏は、

「最初の就職はクジ引きのようなものだ」と述べたことがあるそうです。

 

振り返れば、地方公務員はクジ引きではなく志望した職業だったとはいえ、

不器用で優柔不断な私が、よく36年間も「我慢」できたな…と思います。