しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

意外と難しいこと

今日29日の朝日新聞「耕論」は、『過労をなくすには』というタイトルでした。

 

長時間労働や社員の過労自殺がなくならない。なぜ繰り返されるのか。

 問題の根源はどこに。心や身体を壊さないで働くためには、

 何が求められるのだろう。」

この問い掛けに対し、ネットニュース編集者の中川淳一郎さん、

甲南大学准教授の阿部真大さん、作家の津村記久子さんが、

それぞれ論評を寄稿されていました。

 

三人の方の論評のなかでは、津村さんの次のような言葉が強く印象に残りました。

『大学を卒業して10年あまり会社勤めをしました。

 パワハラに苦しんだこともあります。

 「休みます」って口にするのは、しんどいですよ。

 会社を辞めるなんて、もっと勇気がいる。だから、続けるしかない。

 そのうち考えることそのものに疲れ果てて、

 「死んだら全部終わる」と思ってしまう。これは、考え抜いた意思ではなく、

 「何もかも嫌(いや)や」という気分なんだ、と思うようにしています。

 だから、1時間だけ待ってみるとか、2時間後に生きていたら自分をほめるとか、

 短いスパンで「いま」をやり過ごす。絶望的な気分は点で、永遠に続くわけやない。

 こう自分に言い聞かせられれば、その間に時計の針は進んでくれるでしょう。』

 

はぃ…、「絶望的な気分は点で、永遠に続くわけはない」とか、

「その間に時計の針は進んでいく」という思考は、

すごく気持ちを楽にしてくれますよね……。

昨日のこの日記にも書きましたが、

その時、その瞬間は辛くて苦しくても、時間が経過すれば、

何に悩んでいたのかさえ忘れてしまっていることが多々あります。

人間はある意味、そういう「器用な生き物」なのかもしれません。

 

続いて津村さんは、「自分のことばかり考えていると行き詰まるから、

自分より大きなもの、遠くにあるものを気にかけている」と述べられたうえで、

次のようなアドバイスを書かれていました。

『 ~(略)~ そうやって別世界へ意識をスライドしているうちに、

 生きてるのも悪くないって思えるときもあります。

 逃げるのは難しくても、「いま」からちょっとだけ逃れてみてはどうでしょう。』

 

壁にぶつかったら無理に乗り越えようとせず、

壁を避けて通るのも、それはそれで「真っ当な生き様」ではないかと、

私もこの歳になって、ようやく気づくようになりました。

もっとも、「壁を避けて通る」と言っても、

壁に空いた穴を探したり、抜け道を見つけるのも、

これはこれで意外と難しい……です。つくづく生きるのは難しい……。