参議院調査室発行の「立法と調査」第383号に掲載された
『組織経営のあり方を考える(下)~ジョン・P・コッターに学ぶ変革力の意義』
というレポートが大変勉強になりました。
レポート執筆者である財政金融委員会調査室の小野伸一さんは、
公的機関として事業再生を担った産業再生機構に勤務された経験があるそうで、
同機構の支援を仰いだ企業は、いずれも危機感が欠如していて、
小野さんとしては、変革のプロセスを危機感の醸成からはじめるコッターの発想に、
強い共感を覚えたそうです。
そして、小野さんは、要再生企業の全般的な傾向を、
次の7点にまとめられていました。
①危機感が薄い、②当たり前のことが当たり前に出来ない、
③意識が内向きである、④数字に基づく議論がない、⑤ファイナンスに疎い
⑥利益を不適切に利用する、⑦組織・制度が硬直的である
このうち、①から③については、
次のような具体的な例示があり、これがとても勉強になりました。
①危機感が薄い
・社長から現場まで現状に満足しぬるま湯に浸かっている。
・スピード感に乏しい。
・情報共有・目的共有が不十分である。
・情報を隠す
・社長と現場が離れている。(バラバラである)
・社長に統率力がない。
②当たり前のことが当たり前に出来ない
・問題点やミスに気付かない。
・気付いていても知らないふりをしたり、先送りする。
・言い訳をする。
・外部のせいにする。
・批判に耳を傾けない。
・誰にもわからないから大丈夫だろうと考える。
③意識が内向きである
・成功体験にとらわれ進取の気性に乏しい。
・見たいものしか見えなくなる。
・既存の販路や顧客に固執する。
・リベートで押し込み販売する。
う~む、なるほど……。
私は地方自治体を定年退職後、第三セクターに再就職しましたが、
官公庁であれ、民間企業であれ、
上述の事例は、どちらの組織にも当てはまることなのだと思いました。
再生が必要な組織には共通の傾向があるのですね……。
なお、余談ですが、「立法と調査」や「経済のプリズム」は、
参議院調査室が企画・編集し、参議院議員向けに発行している調査情報誌ですが、
秀逸なレポートを読むことができます。是非、参議院HPを覗いてみてください。