しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

なかなか見えないもの

我が家の前には、造成された空き地があって、

今日も近所の子どもたち数人が、元気にサッカー遊びをしていました。

子どもたちの歓声を部屋から聴いていると、こちらも元気をもらいそうです。

 

さて、ビデオに録画していたNHKスペシャ

『見えない「貧困」~未来を奪われる子どもたち~』を観ました。

日本では6人に1人の子どもが相対的貧困状態に置かれていることは、

以前から新聞報道などを通じて知っていましたが、

それがどのような状況なのかを、今回の番組で少しでも知ることができました。

 

番組では、東京都大田区などの自治体が大規模調査を実施して、

世帯収入だけでは見えない貧困の実態を可視化し、

対策につなげようとしている事例が紹介されていました。

 

その調査からは、貧困を見えにくくしていた要因も浮かび上がりつつあって、

番組HPでは次の3点を指摘していました。

1つ目は、ファストファッションや格安スマホなど

物質的な豊かさによって粉飾されること。

2つ目は、高校生のアルバイトなど子ども達が家計の支え手になっていること。

3つ目は、本人が貧困を隠すために、教師や周囲の大人が気づきにくいこと。

 

番組のなかでは、アルバイトを掛け持ちして家計を支える女子高校生や、

進学する意欲と能力がありながら、奨学金や教育ローンなど

進学費用の工面に悩んでいる女子高校生の姿が、私には強く印象に残りました。

 

そして、こうした相対的貧困状態を放置すれば、

将来の社会的損失は40兆円に上るという試算もあるとのことで、

番組を見終わった後は、なんだかとてもやるせない気持ちになりました。

 

ところで、作家・伊集院静さんの名言に、

『人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている』という言葉があり、

この日記でも引用させていただいたことがありますが、

「見えない貧困」という事情のなかで「平然と生きていく」には、

個人として限界があるのではないかと思います。

 

国や自治体も、給付型奨学金の創設などの対策に乗り出すようですが、

日本の将来を担う子どもたちが、

未来に希望を持てない社会だけは次世代に残さないように、

社会全体で取り組んでいく必要性を痛感した次第です。