今日21日の日経新聞一面に掲載された
『景気 試される波及力(3) 東京五輪へ建設ラッシュ~人手足りず投資抑制も』
という記事を読んでいたら、
愛媛県宇和島市出身でBNPパリバ証券の河野龍太郎さんの名前がありました。
その記事によると、河野さんが3月に出した
「20年の東京五輪がもたらす効果は、景気拡大でなく、民間投資の抑制だ」
という趣旨のリポートが、ちょっとした話題を呼んでいるとのことでした。
景気拡大でなく、民間投資の抑制…?どうしてそうなるの……??
疑問に感じていたところ、記事には次のように書かれていました。
『根拠はこうだ。3%を割り込んだばかりの完全失業率が2%まで下がり、
さらに今は職を探していないが「仕事があればすぐに就ける」人が全員就業しても、
新たに確保できる労働力は99万人。
東京都がはじいた五輪の雇用創出効果の194万人の半分にとどまる。
五輪関連の雇用を優先すると他の業界で生産やサービスが滞り、
設備投資を速やかに行えないといった弊害が出て、
景気の足を引っ張る可能性があるという。』
う~む、なるほど…。「民間投資の抑制」とは、そういうことですか……。
どうやら我が国の人手不足は、抑えようがないぐらい深刻なようです。
ちなみに、記事では次のような事実が紹介されていました。
・働き手に当たる15~64歳の生産年齢人口は
ピークから20年かけ1千万人減り77288万人となった。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では東京五輪までにさらに300万人減る。
・小売り・外食では人手不足の緩和と働き方の見直しに向け、
営業時間の短縮やサービスの縮小が相次ぐ。
・三菱総合研究所の試算によると、16~20年の潜在成長率は0.4%に下がる。
放置すれば26~30年には0.1%に落ち込む。
働き手不足が0.5%分押し下げる。
そういえば、前の職場でも、
契約社員を募集しても人が集まらず、人材確保にとても苦労しました。
こういう人手不足の時には、「高齢者の活用」が常套句なのですが、
一言で高齢者といっても、私のように、
あまり「労働生産性」が上がらない高齢者がいることをお忘れなく…。(苦笑)
(なお、経済学者の吉川洋先生は、『高齢者は体力や敏捷さで20代、30代に
かなわないが、労働生産性の実体は、労働者のやる気や体力ではない。
一国経済全体で労働生産性の上昇をもたらす最大の要因は、新しい設備や
機械を投入する「資本蓄積」と「技術進歩」、すなわち「イノベーション」である。』
とおっしゃっています。ご参考までに…。)