『自民党~「一強」の実像』(中北浩爾著:中公新書)を読了しました。
私の感想を先に書きますと、
本書は豊富なデータと資料に基づいて書かれた力作だと思います。
そして、今の自民党の強さは本物かどうかについての結論は、
次のように書かれていました。
『 ~(略)~ 長年にわたって築かれた自民党の優位は、
簡単にはくつがらない覆らないだろう。
歴史的な実績に裏づけられた政権担当能力、
二度の下野を短期間で乗り越えた経験、変化しつつも安定的な意思決定の手続き、
地域や業界に深く根差した集票組織、強固なパートナーである公明党の存在
といった政治的リソースは、自民党にしか存在しない。
衆議院の小選挙区制を背景に再び二大政党化が進展したとしても、
日本政治が今後も自民党を軸に展開していくことは間違いない。』
さらに、現在の安倍自民党については、次のように書かれていました。
自民党が内包する様々な要素を両立させ、党内の一体性を確保している。
現在も自民党では、党内の足並みの乱れが2009年の政権からの転落の
大きな原因になったという認識が根強い。
安倍はそのような認識を十分に踏まえた政権運営を行っている。
つまり、「内なる結束」と「外への対抗」という点にこそ、
安倍自民党の特徴が存在する。』
う~む、どうやらこれからも、「自民党一強」は揺るぎそうもありません。
ただ、この点に関して著者は、次のようにも述べられていました。
あるいはポピュリスト政党に期待が向かう時代が生じれば、
現在の自民党一強と呼ばれる政治状況は、急激に転換する可能性を秘めている。』
自民党を支持するのであれ、批判するのであれ、
まずは自民党の現状を冷静に観察してみる必要があると著者は述べられていますが、
本書は、まさにそのような本になっていると思いました。