昨日15日の朝日新聞デジタル版「波聞風問(はもんふん)」に掲載された
原真人・編集委員の執筆による
『2%インフレ目標~ヘンテコ理論の大きな誤り』という
日銀の2%インフレ目標に関する論評のうち、次の記述が大変勉強になりました。
・そもそも2%の設定には無理がある。
日本ではこの20年、 消費増税などの特殊な時期を除いて
実現したことがない高いインフレ水準だ。
それに物価は景気が熱を帯びると上がるもので、
物価を上げて景気を良くするというリフレ論というのは
順序が逆転したヘンテコな理論なのである。
日銀の過ちは、その理論に乗って目標達成まで緩和を止めない、
むしろ強化する、との立場をとっていることだ。
・緩和の行きすぎはすでに大きな副作用、弊害を生んでいる。
金利なき世界は銀行の事業モデルを破壊し、日銀マネーで市場は官製化が進む。
おきて破りの国債買い支えは、政府の財政健全化の意欲をなえさせている。
政策の出口で想定される国民負担額は膨張の一途だ。
2%を求めて政策を強化すればするほど、事態は悪化していくようなのである。
・日銀が本来めざすべきは物価と経済の安定だ。
インフレ率はここ数年ゼロ%ほどで見事に安定している。失業率は歴史的低さだ。
そこで物価水準だけ無理に引き上げようと超緩和を続ければ、
かえって不安定のタネをまきちらす。
う~む、なるほど……。大変分かりやすい説明だと思います。
これらの記述に「説得力」を与えているのは、
マネジメントの神様、ピーター・ドラッガーの次のような言葉を
論評のなかで効果的に引用されているからではないか、と感じた次第です。
『正しい問題提起への間違った答えは修正がきく。
しかし、間違った問題提起への正しい答えほど修正の難しいものはない。
(「ドラッカー365の金言」)』
私は、本を読んで心の琴線に触れる言葉があったら、
極力、メモ帳か、この日記に書き残すように努めていますが、
作業はそこまでにとどまり、
その言葉を別の機会に効果的に引用するということができません。
言葉の抽斗(ひきだし)を、自由自在に扱える才能をお持ちの方は、
私にはとても眩(まぶ)しく、かつ、羨ましい存在です……。