最近、「地方自治」に関する二つの記事に目が留まりました。
その一つは、9月9日号の週刊東洋経済「経済を見る眼」に掲載されていた
佐藤主光・一橋大学大学院教授の「自治体基金」に関する次のような論評でした。
『将来の借金返済などに備え、地方自治体は財政調整基金などを積み立ててきた。
それら基金の残高が
20.8兆円(2014年度実績)に達したことが話題になっている。
~(略)~
加えて、基金増の背景には自治体の国に対する不信があるようだ。
近年、地域間の財政力格差を是正するため法人住民税の国税化が進んでいる。
また、小泉政権が進めた「三位一体改革」では、地方交付税や補助金が減額された。
こうした経緯から自治体が法人住民税のさらなる国税化や交付税の減額に備えて
基金を積んでいる面は否めない。
将来不安が貯蓄を高めるのは家計や企業と変わらない。
このように、21兆円に上る地方の基金残高は
不安定な税収や地方圏における人口減少、地方の国への不信など
地方財政をめぐる現状を象徴するものといえよう。
貯まった基金をどうするかとともに、これらの課題への取り組みが求められる。』
この記事を読んで、平成15~16年頃の「地財ショック」を思い出しました。
この当時の手痛い経験が 基金を積み立てる一つの動機になっていることは間違いなく、
「将来不安が貯蓄を高めるのは家計や企業と変わらない」というのは
上手な表現だと思いました。将来不安は個人に限ったことではないのですね……。
「週末議員」に関する次のような記述でした。
『日曜大工、週末起業、週末アイドル……。
本業以外の何かに打ち込むスタイルは様々だ。
さてこれからは「週末議員」も誕生するか。
そう思わせる動きが長野県喬木(たかぎ)村から出た。
村議会の日程を大きく改め、議員が村長らをただす一般質問は休日に、
突っ込んだ議論をする常任委員会は平日午後7時からにする方針という。
議員のなり手不足に悩み、仕事と議会活動の両立を探った結果だ。
苦肉の策に見えて、広く自治体の議会を変える妙案かもしれない。
多くの地域で、自営業者や勤めを引退した人に議員が偏る傾向が見られる。
子育て世代などが週末議員になれば、地方自治に新しい風が吹くのではないか。』
う~む、……。(沈黙)
お気持ちはよく分かりますが、「週末議員」の誕生は、
理事者側・議員側双方の負担などを考えると、ハードルは高いように感じます。
むしろ、自治体議員が「職業としての政治家」として活動できるよう、
しかるべき報酬を支給すべきだと私は思っています。違うかしら……?
二つの記事を読んで、久しぶりに地方自治に関する頭の体操をしました。