書店の書棚に整然と並んでいる本の背表紙を眺めながら
お気に入りの一冊を選ぶのは、私の至福の時間の一つなのですが、
今日16日の朝日新聞「天声人語」には次のようなことが書かれていて、正直、びっくりしました。
『作家の川上未映子さんが岩波文庫を例にあげ、変わった本の選び方を勧めている。
書店の棚の前に立ち、目をつぶる。手を伸ばして指先に触れた最初の本を買い、必ず読み切る。
難しそうでも、書名の意味すらわからなくても。
それが「自分の知らない何かに出合うこと」
「自分の意識からの束(つか)の間の自由を味わってみること」の実践なのだと書いている
(「読書のとびら」)。世の評価を得た作品の多い文庫本ならではの試みだろう。
そこまでの勇気はないものの、千円でおつりがくる文庫なら、
なじみのない分野にもついつい手が伸びる。気づけば積(つ)ん読(どく)が増えている。
それでも新たな出合いを求め、書店に入れば文庫の棚へと一直線なのである。』
う~む、なるほど‥‥。このような「変わった本の選び方」もあったのですね。
長い歳月をかけて厳選された古典の名著がラインアップされている
「岩波文庫」だからこそ通用する「本の選び方」なのかもしれません。
確かに、これまでの自分自身の行動を振り返ってみても、
書店で選んだ本には、本人の好みや価値観が反映されていて、
その結果というのは、特定の分野や特定の著者に偏りがあったように思います。
「自分の意識からの束の間の自由を味わってみること」
コラムに書かれていたこの言葉を反芻(はんすう)すると、川上未映子さんがお勧めする方法を、
一度は試してみる価値があるような気がしてきました。