しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

忘れ去られていた視点

10月22日の衆院選挙の日に、

投票所を出たところで地元民放の出口調査に回答したことをこの日記に書きました。

その質問のなかには確か、「重視する政策」を複数の項目から1つだけ選ぶというものがあって、

私は少し迷ったあと、「消費税」に関する項目を選択しました。


すると、今日26日の「経済専門レポート」のサイトに、伊藤忠経済研究所主席研究員の

『忘れ去られた財政健全化~衆院選回顧』というタイトルのラムが掲載されていました。

このコラムでは、上手に論点・争点をまとめられていますので、

少々長くなりますが、後で思い起こすために、この日記で引用・記録させていただきます。


『各党の政策を財政健全化への貢献度で測ると、

 自民・公明は消費増税を予定通り実行するという点においてはプラス評価である。

 ただ、当初は消費増税による増収分のうち、

 大部分を赤字国債の圧縮、すなわち借金の抑制に充てる予定だったものが、

 その半分程度を子育て・教育支援の財源に充てるとした。

 言い換えれば、借金返済に回す予定だったお金を使ってしまうものである。

 もちろん、子育て・教育支援拡充の受益者は若年層が中心であるが、

 その負担も借金の増加という形で自らの世代が負担し、

 更にはその子供の代へも負担を積み残すことにもなり得る。

 一方、野党はいずれも、消費増税はしないが子育て・教育支援は拡充するという、

 少し虫が良すぎるような政策メニューを示した。

 一部の政党は、その財源を歳出削減に求めたが、それを実現するハードルは非常に高いだろう。

 ただ、もし本当に実現できたとすれば、

 受益者は若年層中心、負担するのは削減された歳出の恩恵を得ていた層となる。

 現在の社会保障を含めた政府の政策による恩恵が、

 若年層より中高年層の方が大きいと考えると(恐らくそうだろう)、

 歳出削減と子育て・教育支援拡充という組み合わせは、

 若年層にとってよりメリットが大きいはずである。

 更に言えば、消費増税を実施した上で、その増収分を当初予定通り借金の抑制に充て、

 子育て・教育支援の財源を歳出削減によって捻出すれば、

 借金返済という将来負担も抑えられるため、

 若年層にとって最大の効用が得られることになるはずであるが、

 そこまでの政策メニューを示した政党はなかった。

 このように、税や社会保障という、政府による所得再分配について、

 若年層のメリットだけを考えれば、

 自民党よりも一部の野党の示す政策の方が支持を得られたはずであるが、

 結果がそうならなかったのは、その内容が十分に伝わらなかったためなのか、

 そもそも財政健全化という視点が忘れ去られていただけなのか。

 それとも、政策の実行力までを含めて評価したためなのか。

 歳出の削減には強力なリーダーシップが必要でことは言うまでもない。

 それが実現できる強い与党が継続したわけであり、若年層の将来のためにも、

 歳出削減にどこまで踏み込めるのか、まずは期待を持って注視していきたい。』


私の消費税に関する基本的なスタンスは、

まずは既定方針のとおり消費税を増税して、その増収分(約5兆円)から少しでも借金を返済し、

娘や孫娘など次世代の負担をできるだけ軽くするとともに、

社会保障を充実して現役世代の将来不安を払拭していくというものです。

ですから、この時点で、消費増税の凍結や中止を訴えた

政党・候補者への投票の選択肢はなくなりました。


そもそも、歳出削減による消費増税相当分の財源捻出がいかに困難な作業であるか、

また、「埋蔵金」がいとも簡単に見つかるような主張が、いかに根拠に乏しいものであるかは、

民主党政権下の失政で多くの国民は学習したはずです。


次に、消費税増税後の使途については、

政権与党である自民・公明両党の突然の使途変更の主張に少々戸惑いましたが、

それでも、予定通り増税することを公約しただけでもセカンドベストだと思いました。

ただ、結論としては、このコラムでも指摘されているように、

与野党を問わず『そもそも財政健全化という視点が忘れ去られていた』ような気がします。