通勤電車の往復の時間を利用して読み進めていた
『ソロモンの偽証(全6巻)』(宮部みゆき著:新潮文庫)を、ようやく読み終えました。
「全国どこを探しても、こんな学校内裁判を実行するような
中学生と中学校はないだろうな‥‥」と思いつつも、
それぞれの登場人物の心理描写には真に迫るものがあって、
最後の最後までスリリングな展開を堪能することができました。
本を読み終えて最後まで謎だったのは、
三宅樹里の友人で、交通事故で死亡したとされる浅井松子のことです。
彼女は、事故死だったのでしょうか?
私は、三宅樹里が犯人だと思っていたのですが、結局、最後まで分かりませんでした。
ところで、この文庫本には、書下ろし中編「負の方程式」が収録されています。
小説の終章では、弁護人助手役の野田健一が、
20年後に母校の城東第三中学校の教師として赴任する姿が描かれていますが、
さらに、この書下ろし中編を読むと、検事役の藤野涼子が弁護士、
弁護人役の神原和彦が学者となっていて、この二人は夫婦であることが判明します。
ただ単に、中学生の学校内裁判に終わらせず、
登場人物の20年後の姿を描いたところも、この小説の魅力になっていると思いました。
ちなみに、この小説には、次のような「人生訓」もさりげなく書かれていましたので、ご参考まで‥。
・人が本性を隠して何かを装っていると、いつしかその装っているものの方が本性になってしまう。
・幼さは、若さは、すべて同じ弱点を持っている。待てないという弱点を。
事を起こせば、すぐに結果を見たがる。人生とは要するに待つことなどだという教訓は、
平均寿命の半分以上を生きてみなければ体感できないものなのだ。
そして、うんざりすることではあるけれど、その教訓は真実なのだと悟るには、
たぶん、残りの人生すべてを費やすまでかかるのだ。
・人間は、どんなことだってやらかす。夫婦や親子の情だの、社会の規範だの常識だの世間体だの、
そんなものが吹っ飛んでしまう瞬間が、人間にはある。
だから世の中ではどんなことだって起こり得る。
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- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014
- メディア: 文庫
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