今日、12月1日の日経新聞に、総合商社・伊藤忠商事の「ふせぐ」という、
とてもインパクトのある全面広告が掲載されていました。
田島征三さんの迫力のある絵とともに、広告文が味わいのある文章だったので、
その内容を次のとおり、この日記に書き残しておこうと思います。
『さえぎって、食い止めること。害を受けないようにすること。
総合商社において「防ぐ」ということは なにを隠そう「稼ぐ、削る」ことより難しく、最重要。
これこそ商いの「肝」となる。
想像してみる。
サッカーの試合で1点の負けを取り返す苦労があるように、損した分まで稼ぐことがいかに大変か。
1億を稼ぐより、まずは1億の損を防ぐ。きっちりとしたリスク予測と管理こそが、普遍の課題。
しかしそうは言っても、新しい商い、新しいお客さまへと 未知の分野に挑むことは総合商社の使命。
想定外の複雑な売買、百戦錬磨の相手も次々と現れる。
だからこそ気をゆるめず防ぐ。防ぐと稼ぐは表裏一体。それが結果的に儲けにつながる。
商人よ、今日も防いでいこう。防御こそ最大の攻撃なり。
伊藤忠商事が掲げる商いの三原則『か・け・ふ』。それは「稼ぐ・削る・防ぐ」を意味しています。
稼ぐは商人の本能。削るは商人の基本。防ぐは商人の肝。その3つが支え合って成立するものです。
ひとりの商人、無数の使命 伊藤忠商事 』
う~む‥‥、実にすばらしい。
このところ、企業不祥事の報道が絶えないなか、この広告には、ひと際、清涼感が漂います。
岡藤正広社長へのインタビュー記事が、次のような内容で掲載されていました。
Q 長時間労働是正の動きが広がっています。
A 労働時間を減らすことが働き方改革の目的ではない。
効率と生産性を高めた結果、給与が増え労働時間も減る。
短い時間の中で効率や生産性を高めることが重要だ。
かつては残業が多いほど仕事をしているといった評価が一般的だった。
今は「あんなに残業をするのは格好悪い」という風土や企業文化を作っていかなければならない。
間違ってはならないのは、単に楽をするわけではないということだ。
「がむしゃらではなく余裕を持って働きたい」「働く時間を減らして給料をもらう」
という考えでは会社がつぶれる。どこでも経営者やトップの人間は他人の何倍も働いている。
ただ皆がそういうわけにはいかないから、短い労働時間で生産性を上げる以外に道が無い。
伊藤忠商事の全面広告の「真意」は、私にはよく分かりませんが、
岡藤社長の経営姿勢を含めて、その企業としての「高い志と使命感」が強く心に響いた次第です。