今日18日の日経新聞電子版「私のリーダー論」に、
柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長へのインタビュー記事が掲載されていました。
24歳で家業に入り、40年以上経営の第一線で走り続けた柳井さんに、
「モチベーションとは何か」などについてインタビューしたものでしたが、
そのなかでも特に印象に残ったQ&Aを、次のとおりこの日記に書き残しておこうと思います。
Q 柳井さんの持論は「失敗しても諦めずに挑戦する」です。
心が折れそうになることはないですか。
A いつも折れそうだよ(笑)。僕は、もともと内向的で、経営者に向いてない性格だったしね。
学生のときは、本ばかり読んでいた。
商売人どころか仕事しないで一生暮らせる方法はないかな、と思ってた。
でも、何度も経験するうちに免疫がついてくるんじゃないかな。
Q 失敗を繰り返しながらも、なぜ経営者の仕事ができるようになったのですか。
A 僕は本が好きだったから。特に、昔の実業家や経済人の伝記を読むのが好きなんです。
松下幸之助や本田宗一郎とかね。ケーススタディといえるかわからないけど、
疑似体験をして、この人たちが経験したことに通じるな、と思うこともある。
米国のコングロマリットと呼ばれたITT(当時)の社長兼最高経営責任者だった
ハロルド・ジェニーンの『プロフェッショナルマネジャー』も何度も読みました。
経営は、最終ページから本を読むのと同じです。
つまり、結論が先というか、何をするのか決めて実行することなんです。
非常に単純ですが、実際に自分がやっていなかったと気がついた。
というのはね、日本人はほとんどそうだろうけど、毎日努力してたらある程度成功する、
と思うでしょう。でもね、努力してても、努力の方向性が違ったらダメ。
成功しないの(笑)。同じところを回っているだけ。
結局、あなたは何がしたいのか、人生をかけて何がしたいのかが決まらない限り、
ビジネスはうまくいかないと気付いた。それからです。ちょっと経営が分かってきたのは。
Q 柳井さんが考えるリーダーの条件は何ですか。
A 多くの人が勘違いしているけど、起業家で本当に成功している人は
非常に注意深いんです。(米マイクロソフト創業者の)ビル・ゲイツ氏が、
「You must worry(悩みなさい)」といっているんです。
すごく注意しないと持続的な成功はできない。
大胆な人はいない、フォーカス(焦点を絞る)しないといけないと。
もう1つは、誇大妄想狂って僕はいっているんだけど(笑)、
アントレプレナーシップを持っていること。
うちのステートメントは「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」。
自分でもよくいうなって思うんだけど、そういうことが本当に必要なんだと思うんです。
Q では、柳井さんのモチベーションとは何ですか。
A 夢とか目標とか、高尚なものじゃない。
服屋として、行けるところまで行ってみたいんです。登山家と一緒。
加えて、仕事は、団体競技なんです。
今、当社には世界で約11万人の従業員がいるんだけど、
その人たちと一緒にチームプレーできる。僕に100メートルを9秒9で走れる能力がなくても、
誰かがその能力もってたら走れるんです。それが楽しい。
へぇ~、そうだったんだ‥‥。
柳井さんが自分自身を、「内向的で、経営者に向いていない性格」と
自己評価されているのには驚きました。私からは、とてもそのようには見えません。
そして、「日本人はほとんどそうだろうけど、毎日努力してたらある程度成功する、
と思うでしょう。でもね、努力してても、努力の方向性が違ったらダメ。」というのも、
ごもっともなご指摘だと思います。
そして、ここには書き残しませんでしたが、柳井さんは朝型人間とのこと‥‥。
毎朝、5時から5時30分に起きて、朝食を食べて新聞を読み、
6時30分から45分にはオフィスに着いているそうです。
う~む、まいったな‥‥。
起床時間は私と変わらないけれど、トップがオフィスに6時30~45分には居るなんて。(絶句)
いくら3時か4時には帰ると言っても、これだと周りの社員はたまらないだろうなぁ~‥‥。
そして、記事全体を読んで感じたのは、柳井さんのように偉大な経営者がいる企業では、
後継人材がかえって育ちにくいということはないのでしょうか‥‥?
ごく平凡な人間が感じた、素朴な疑問です。