今日30日の朝日新聞デジタル版「波聞風問」(はもんふうもん)に掲載された
原真人・編集委員執筆による『デフレ脱却 宣言しない本当の理由は』
という記事が面白かったです。記事には次のようなことが書かれていました。
『安倍晋三首相は「物価が持続的に下落するという意味のデフレではなくなった」と言う。
なのにデフレ脱却宣言まで踏み込まないのはなぜか。
政府・日銀が掲げる2%インフレ目標が未達成だから、というのが公式見解だ。
ただその理屈は苦しい。なにしろ政府も日銀も「景気は拡大中」と言っているのだ。
宣言できない本当の理由は異次元緩和を終わらせられないからではないか。
日銀は異次元緩和の一環で国債と株式ファンドを大量に買い続けている。
いまや苦しい政府の借金財政を支えるのも、株価の高騰を下支えしているのも日銀だ。
日銀がこれらの政策をやめたら、あるいは購入量を減らしただけでも
まちがいなく国債価格と株価は急落する。
避けるには政策継続しかない、というのが政権の本音だろう。
ただ国債や株を永遠に買い支え続けることはできない。
政策の「正常化」を先送りすればするほど反動は大きくなるから修正は早いほどいい。
だが高株価とゼロ金利の微温景気にどっぷり浸った安倍政権にその気はなさそうだ。
日銀自身もいまや引くに引けなくなった。みずから引いてショックを起こせば戦犯とみなされる。
ならば動かぬが得、と決め込んでいる風だ。
平均株価は26年ぶりの高値を記録。世の中にはバブルの空気さえ漂う。
日本経済の実態はしかし、異常なマクロ政策の砂上に立つ楼閣である。』
10年ぶりに改訂された広辞苑で「デフレーション」という言葉をひくと、
『デフレーション=(通貨収縮の意)物価が持続的に下落すること。
企業の倒産、失業者の増大など不況や社会不安を伴うことが多い‥‥。』で、
これは旧版と一言一句同じだそうです。
原真人・編集委員は、さきほどの政府・日銀のマクロ政策や日本経済の現状を踏まえ、
広辞苑には次のような語義も加えてほしかったと述べられていました。
『デフレ=物価が2%以上の上昇をしない状態。景気の良しあしはどっちでもいい。
異常な金融政策を続ける理屈としてもっともらしい言葉。』
う~む、なるほど‥‥‥。
言われてみればそのような気がして、「笑点」の司会者ではありませんが、
「お~ぃ、ざぶとん一枚持ってきておくれ!」の心境になりました。