ドイツの若手哲学者マルクス・ガブリエルの
『なぜ世界は存在しないのか』という本が売れているそうです。
朝日新聞デジタル版では、哲学者の千葉雅也さんが、
昨今、出版界で哲学ブームが起きていることについて、論評を寄稿されていました。
そこでは、「なぜいま哲学なのか」が、次のように解説されていました。
『フェイクニュースにまみれ、加速するグローバル経済に翻弄(ほんろう)されて
不安定な生を送る現代人は、何か確実なものを求めている。
一方で、科学だけでは何か足りないという漠然とした不安がある。
科学は生活を劇的に便利にしたが、科学的分析の力によって我々はますます厳密に管理され、
統治されるようになっている。他方で、宗教に頼るのでも足りない。
宗教に基づく非合理的な情念は、深刻な対立を引き起こしてきた。
おそらく現代人は、科学でも宗教でもない「別の真理の領域」を求めている。
その候補が哲学なのだ。哲学に、この時代の不安を託そうとしているのである。
いわば「ポスト・ポスト構造主義」の段階における現代思想では、
「実在論」が大きなテーマになっている。
実在論とは、事物がそれ自体として存在すると認め、事物を客観的に記述できるとする立場だ。
事物の実在は、常識的には当然のことだと思われるかもしれないが、
実は厳密に哲学的に主張するのは簡単ではない。
今日、そうした実在論の本質が問い直されている。』
う~む、なるほど‥‥。
科学でも宗教でもない「別の真理の領域」が哲学というのは、ストンと落ちる説明ですね‥‥。
私は、科学はどちらかといえば苦手な分野だし、かといって宗教はというと、
ちょっと身構えるところがあります。
また、解説にある「実在論」となると、私にはチンプンカンプン分かりません。
ただ、時代の不安を託す候補が哲学だとすると、私にも心当たりがあります。
最近は、池田晶子さんや神谷美恵子さんの本に、救いや慰めを求めるようになりました。
ちなみに、池田晶子さんには、『「人生いかに生くべきか」と悩んでいるあなた、
あなたは人生の何をわかっていると思って悩んでいるのですか。』という問い掛けがあります。
「悩むな、考えよ」との教えです。ご参考までに‥‥。

- 作者: 池田晶子,NPO法人わたくし、つまりNobody
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/02/24
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追記 明日は職場の送別会です。そのため、この日記はお休みの予定です。