NHKテレビテキストの100分de名著『点と線・砂の器・昭和史発掘・神々の乱心』と
『松本清張の「遺言」~「昭和史発掘」「神々の乱心」を読み解く』(原武史著:文春文庫)を読了しました。
放送大学教授で政治学者である原さんの、テレビ番組での解説がとても面白かったので、
文庫本も購入して読んでみることにしました。
私は、松本清張の名作「点と線」と「砂の器」は、若い頃に読んだことがありましたが、
「昭和史発掘」と「神々の乱心」については、その存在を知りませんでした。
今回、原さんの解説やその著書を通じて、清張という人が推理小説作家だけではなく、
歴史研究者・思想家としても超一流であることを知ったのは、私にとって大きな収穫でした。
ちなみに、テレビテキストで原さんは、次のように述べられていました。
『清張はタブーをつくらず、自分が発掘した史料をもとに歴史に忠実に向き合おうとしてきました。
それまでの歴史の描かれ方に対して一つの異議申し立てをしたわけです。
東大を中心としたアカデミズム的なものに対して反発したとも言えるでしょう。
そうした清張の姿勢の根底には、下積みの苦労をしたこと、
あるいは歴史の地層が幾重にも堆積する福岡県という風土に生まれ育ち、
いわゆる官制の歴史だけではない、多様な歴史の可能性に目覚めたことがあると思います。
現在でも、すぐれた小説の中には、学者が到底思いつくことのできない着眼点が、
認められることがあります。天皇制について、その先駆けとなる小説を書いた作家こそ、松本清張でした。
私は清張を、司馬と並ぶ国民作家としてだけでなく、
いまなお解明されない天皇制の深層を見据えようとした、スケールの大きな歴史家ないしは思想家として
見ることが必要だと思うのです。』
清張の遺作という「神々の乱心」は、天皇制と昭和史という二大テーマを、
フィクションとノンフィクションを織り交ぜながら書かれている小説とのことなので、
私も是非手に取って読んでみたいという気持になりました。未知の読書分野がまた一つ拓けそうです。
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