しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

一時の寂寞か、万古の凄凉か

学校法人「加計学園」の、愛媛県今治市への獣医学部新設をめぐる問題で、

国会の参考人招致に臨んだ元首相秘書官の答弁に関連して、

今日の朝日新聞天声人語」には、次のようなことが書かれていました。


『 ~(前半、略)~ 「百術有りと雖(いえど)も一清(いっせい)に如(し)かず」という警句がある。

 平安王朝で能吏として知られた

 橘良基(たちばなのよしもと)の言葉だと史書『日本三代実録』にある。

 「治国の道」を問われ、百の技を駆使するよりも一つの清さが大切だと教えた。

 良基の言葉をいまこそ、霞が関のエリートたちに贈りたい。

 森友、加計の問題で国会を停滞させた理由の一つには、

 官僚たちによる公文書の改ざんや答弁のごまかしがある。』


この橘良基の言葉から、中国明代末期の洪自誠(こうじせい)の随筆集

菜根譚(さいこんたん)」に書かれた、次の一節を思い起こしました。

『道徳に棲守(せいしゅ)するは、一時に寂寞たり。 権勢に依阿(いあ)するは、万古に凄凉たり。

 達人は物外の物を観(み)、身後の身を思う。

 むしろ一時の寂寞を受くるも、万古の凄凉を取ることなかれ。』


私の手もとにある『中国古典百言百話1~菜根譚』(吉田豊著:PHP文庫)には、

次のような解説がありました。

『道を守って生きれば孤立する。だがそれは一時のことだ。

 権力にへつらえれば居心地はよかろう。だが、そののちにくるのは永遠の孤立だ。

 めざめた人は、現世の栄達に迷わされず、はるかな理想に生きるのだと洪自誠はいう。』


いつの時代であっても、真理を言い当てる言葉には、変わらぬ重みがあります‥‥。

菜根譚―中国古典百言百話 (1) (PHP文庫)

菜根譚―中国古典百言百話 (1) (PHP文庫)