学校法人「加計学園」の、愛媛県今治市への獣医学部新設をめぐる問題で、
国会の参考人招致に臨んだ元首相秘書官の答弁に関連して、
今日の朝日新聞「天声人語」には、次のようなことが書かれていました。
『 ~(前半、略)~ 「百術有りと雖(いえど)も一清(いっせい)に如(し)かず」という警句がある。
平安王朝で能吏として知られた
橘良基(たちばなのよしもと)の言葉だと史書『日本三代実録』にある。
「治国の道」を問われ、百の技を駆使するよりも一つの清さが大切だと教えた。
良基の言葉をいまこそ、霞が関のエリートたちに贈りたい。
森友、加計の問題で国会を停滞させた理由の一つには、
官僚たちによる公文書の改ざんや答弁のごまかしがある。』
この橘良基の言葉から、中国明代末期の洪自誠(こうじせい)の随筆集
「菜根譚(さいこんたん)」に書かれた、次の一節を思い起こしました。
『道徳に棲守(せいしゅ)するは、一時に寂寞たり。 権勢に依阿(いあ)するは、万古に凄凉たり。
達人は物外の物を観(み)、身後の身を思う。
むしろ一時の寂寞を受くるも、万古の凄凉を取ることなかれ。』
私の手もとにある『中国古典百言百話1~菜根譚』(吉田豊著:PHP文庫)には、
次のような解説がありました。
『道を守って生きれば孤立する。だがそれは一時のことだ。
権力にへつらえれば居心地はよかろう。だが、そののちにくるのは永遠の孤立だ。
めざめた人は、現世の栄達に迷わされず、はるかな理想に生きるのだと洪自誠はいう。』
いつの時代であっても、真理を言い当てる言葉には、変わらぬ重みがあります‥‥。
- 作者: 吉田豊,洪自誠
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