今日の日経新聞「TheSTYLE」の「名作コンシェルジュ」は、
日本で1975年からNHKで放送された『大草原の小さな家』で、
作家・山下柚実さんによる、次のような解説がありました。
(『大草原の小さな家』の舞台は19世紀後半のアメリカで、
西部開拓時代、新天地を求めミネソタ州に移住してきたインガルス一家の物語です。)
『 ~(略)~ 丸太を切り、草原を開墾し耕す。狩りや釣りで獲物を得、
種から小麦を育てて食べる。靴、鍬、椅子、衣服‥‥道具の多くは手作り。
一つ一つ、モノと向き合う素朴な暮らし。質素ではあっても、肌触りや素材感、色彩のいかに豊かなことか。
現代の生活から決定的に失われてしまったものが、ここには息づいている。
原作はローラ・インガルス・ワイルダーの自伝「大きな森の小さな家」。
実話が下敷きだけに家庭愛では解決しえない過酷な試練も次々に襲う。
嵐、火事、怪我、病気‥‥困難を前に、人と人との助け合いは清々しく、
季節の実りは奇跡のように立ち現れる。
~(略)~ だが、考えてみれば不思議ではないか。
70年代、遠く離れた島国・日本で、なぜこのドラマが素直に受け入れられ熱く視聴されたのか。
この時期、アメリカが参入したベトナム戦争への反発も大きかったし、
いまだ第2次世界大戦による心の傷を抱えていた人もいたはず。
アメリカへの違和感を超え大ヒットした理由とは何だったのだろう?
もしかしたら、「ゼロからの出発」にヒントが潜んでいないだろうか?
開拓時代のアメリカと、空襲で焼け野原になり、大災害も頻発する日本。
時も場所も事情も違うが、ゼロの地点から生活を創り出していく苦悩は共通している。
インガルス一家が格闘する姿は理屈抜きに国境を越え、心を強く揺さぶった。
つまり、国家や政治、民族の違いを超えて
「人が自然と共に生き抜くことの厳しさと歓び」という"暮らしの原点"が描かれていたからこそ、
多くの人が心を摑まれたのだろう。』
う~む、なるほど‥‥。
解説を読んで、このドラマをテレビで何回か観たことを思い出すと同時に、
“暮らしの原点”など、当時の私が考えもしなかったことについて、改めて考え学ぶ機会となりました。
モノやサービスが満ち溢れた社会に生まれた小学一年生の孫娘とともに、
もう一度このドラマを観てみたい気持ちにさせる、‥‥そんな秀逸な解説だったと思います。
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