昨日のタイトルは、『創作の手法 ~「なにか変だな」をメモ~備忘録からストーリー』でした。
阿刀田さんは、「思いついたことはとにかくメモにする」ことらしく、
次のように述べられていました。
『日々の生活の中でつねにアイデアのかけらを探している。
思いついたことはとにかくメモにする。断片的な一行でもいい。
これを怠ると、~いいこと、思いついたんだがなあ~
あとでは思い出せず、釣り落とした魚を悔やむこととなる。
メモは少し整理してデスクの上の備忘録に書き残す。
作品を創るとき、この備忘録を見て、ストーリーを考える。
記されたアイデアの群の中で本当に役立っているのは一割あるかどうか。
一度用いたものは赤線で消す。
かくて備忘録には“ドラキュラが血液銀行に勤めたら、どうなるか”
などヘンテコなものが残っている。備忘録はもう十八冊になった。
あえて言えば、つねに“なにか変だな。なぜだろう。
どうなるのかな”に留意して、面倒でもメモにとり、それを整理しておくことだ。
これがアイデアをつかまえる方法として有効であり、小説作法のためばかりではなく、
いろいろな創造に役立つのではあるまいか。昨今はそんなことを思ったりしている。』
う~む、なるほど‥‥。
私の場合、「Handy pick」の小型メモ帳をいつもカバンの中に入れていて、
朝日新聞一面コラム「折々のことば」で感銘を受けた言葉や、
本を読んでいて出合った名言・箴言・名文を、メモとして書き残すようにしています。
そのメモ帳の数だけは、もう70冊以上になるのですが、
阿刀田さんのように創造に役立つことはなく、
一度書いたメモをもう一度読み直すこともほとんどありません。
ただ、「書くという行為」をしたことによって、
「あぁ‥、あの時には、こんなことが書いてあった、あの本にはあんな名言があった‥‥」
と何かの拍子に思い出すことがあります。
さらに、不思議なことに、ごくまれではありますが、その言葉が口に出ることもあります。
そういえば、中学・高校生の頃も、英単語や歴史を覚える際には、
ノートに必死に書き写していた記憶があります。
創造とはいかないまでも、「書くという行為」は、脳の働きにとても有効なのかもしれません。