しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

座右の一冊

昨日は飲み会で、この日記はお休みしました。

大学OBの集まりで、皆で「都の西北」を久しぶりに歌って帰りました。とても楽しかったです。


さて、『読売新聞朝刊一面コラム~竹内政明の「編集手帳」傑作選』

(中公新書ラクレ)を読了しました。

私は、竹内さんのコラムは、最後の1~2行に、人の心を打つ、

そして、いつまでも余韻が残る、魅力的な文章が配置されていると感じています。

例えば次のような‥‥。


・稼いだ勝ち星の数や、浴びた拍手喝采の数だけでは、〝重み〟を量れない勲章が、

 男の人生にはある。(武州山)

・心ない者たちのうちにも自分と同じ美しさを探しつつ、

 君はひとり、大人になればいい。(いじめ)

・目にした文章の、言葉の、文字の重さに引き比べ、おのが文章の空疎に嫌気がさし、

 何も書きたくないときがある。(御巣鷹)

・勝者よりも敗者のなかに、いつも自画像が見つかるのはなぜだろう。(野田佳彦)

・所属事務所を通じての喜びの言葉に、「志低く、不器用な自分が」とあった。

 寡黙で一本気な銀幕の主人公が目に浮かぶ。(高倉さんの運動会)

・仕事に、恋に、あるいはほかの何かにつまづき、どん底のなかで偉業の朗報に接した人も

 多かろう。あすを信じて、きょうの悔し涙に乾杯!(山中さんの挫折)

・聴き手の孤独と不幸に歌で寄り添ったその人にさえ、人生の穏やかな秋を天は許してくれない。

 生きるとはむずかしいものである。(藤圭子)

・悩み、苦しみ、悔し泣きした人にだけ見えるものがある。(梁瀬次郎)

・若い日に、国家が軍部に引きずられる歴史を見てきたからだろう。

 私は「弱い善人」が最も嫌いだーーと、その語録にある。(森嶋通夫)

・〈日々を過ごす/日々を過(あやま)つ/二つは/一つのことか〉

 まだまだお世話になるだろう。日々の過ちを過去に流しながら、

 苦労を豊かにしていく人生なれば。(吉野弘)

・あの地震が起きてからというもの、涙を燃料に毎日を生きている。そんな気がする。(糧)


この本は、深代惇郎さんの「天声人語」とともに、

間違いなく私の、「座右の一冊」になると思います。