ここ数日の報道に接して、「地面師」という存在を初めて知りました。
デジタル大辞泉には、「他人の所有地を利用して詐欺を働く者。」という解説があります。
一連の報道を読んで不思議に思ったのは、世間に名の知れた積水ハウスが、
「なぜいとも簡単に約55億円もの大金をだまし取られたのか?」ということです。
この私の素朴な疑問に答えてくれるべく、今日の日経新聞デジタル版には
詐欺をうかがわせる不審な点がいくつも存在したとして、次のようなことが書かれていました。
『所有者になりすました女は当初から土地の権利証のカラーコピーを見せるだけで原本は示さず、
打ち合わせの際、自分の住所や誕生日を間違えた。
契約後の5月上旬(2017年)には、土地所有者本人を名乗る人物から「売買契約はしていない」
「別人との取引で無効」との複数の内容証明郵便が届く。
しかし、同社は「怪文書」とみなして対応しなかった。
購入代金の残金約49億円を支払った6月1日、同社スタッフが旅館の中に入ろうとしたところ、
本来の土地所有者から相談を受けた警視庁大崎署員から任意同行を求められた。
それでも同社は「取引を妨害しようとしている人の仕業」と判断した。
6月9日、法務局から登記申請を却下する通知が届いた段階で、
同社はようやく相手側が所有者を偽っていた事実を理解した。
8月、土地取引で事故があったと公表し、17年2~7月期に55億円の特別損失を計上した。』
う~む‥‥。(沈黙) 「事実は小説より奇なり」というのは、こういうことを指すのでしょうか?
そして、先ほどの記事では、コーポレートガバナンス(企業統治)に詳しい方の、
次のようなコメントが紹介されていました。
『複数のリスク警告があったにもかかわらず購入の判断が変わらなかったとすれば、
特定の個人や部門のみの責任ではなく、
会社全体の組織風土として情報共有や決裁のあり方に問題があった可能性がある。』
昨今、「振り込め詐欺」が社会問題化していますが、
詐欺の被害者は、なにも個人に限ったことではなく、
企業においても、リスク管理が不十分な場合には、その対象になることを改めて思い知った次第です。
ところで、「詐欺」といえば、ずっと以前から妻は、
「貴方にはだまされた。私の人生を返して‥‥。」が口癖になっています。
だまされて失ったお金や人生を取り戻すのは、極めて困難なことだと思います。(苦笑)