今日8日の朝日新聞デジタル版に掲載された
政治学者、ダニエル・ジブラットさんへの新春インタビュー記事が勉強になりました。
ジブラットさんは、「民主主義の死に方」(新潮社)の著者で、
記事のタイトルは「民主主義、生かすために」でした。
まず、ジブラットさんは、米国民主主義が過去200年以上存在しなかったような危機に直面しているとして、
具体的には次の3つの脅威を示されていました。
①民主主義的なルールに従おうとしない大統領がホワイトハウスにいること、
②政治的な二極化、分裂が深まっていること、③経済的な不平等や格差の拡大
そして、これらは、民主主義にとっては慢性の病気のように深刻な問題で、
放っておくと死に至る可能性があると述べられていました。
また、民主主義的なルールに従おうとしないとトランプ氏が、
大統領選挙という民主主義のシステムによって選ばれていることが、
まさに現代の民主主義の大きな問題であるとして、次のように述べられていました。
『独裁者はクーデターや暴力的な事件を通して権力を掌握することがかつては多かった。
ただ、現代の独裁者は違います。銃声ではなく、選挙で権力の座に就く。
最初は社会の抱える問題を打破してくれるとの期待を背負った人気者として、民主的に登場してくるのです。
だが権力を握った後、メディアを含む対立相手の自由を奪うことなどによって、
民主主義を侵食していくのが特徴です。』
さらに、民主主義を脅かす指導者にみられる特徴を、「4つのリトマス試験紙」として示されています。
その4つとは、①民主主義のルールを軽んじること、②対立相手の正当性を否定すること、
③暴力を許容・促進すること、④メディアを含む対立相手の市民的自由を奪おうとする姿勢
そのうえで、民主主義を担う有権者に必要な備えについて、次のように述べられていました。
『民主主義とは、スイッチを押すだけで自動で動く機械ではないのです。
どんなに優れた憲法や仕組みがあったとしても、不断の努力が求められ、
常にエネルギーを注ぎ込まなければならない。
人々がしっかり政治について考え、語り合い、意見を表明することがまず大事です。
何年かに一度だけ、選挙にさえ行けばそれで済む、のではないのです。
そうした努力によって人々の不満や怒りをしっかりと政治の場に反映させることができ、
変化し続けることができるのです。』
はぃ‥、そうですよね。
ジブラットさんがおっしゃっていることは、健全な民主主義にとって、至極当たり前のように思われます。
ですが、頭では理解していても、それをなかなか実行できないのが、私たち有権者なのかもしれません。
記事を読んで、ジブラットさんの著書を読んでみようと思ったのですが、
それより前に、積読状態にある本をなんとかしなければなりません‥‥。(トホホ)